A Barca Do Solは何人もの有能なMusicianを輩出した音楽集団であり、Egberto Gismontiと深い関りがあるRock Groupとして知られている。Gismontiは彼らが74年にリリースしたデビュー・アルバム『A Barca Do Sol』をProduceし2曲でSynthesizerも弾いている。また、今をときめくJaques MorelenbaumやNando CarneiroといったバンドのメンバーはGismontiの80年代以降の幾つかのアルバムに参加しただけではなく、Egberto Gismonti Groupのメンバーとしても活躍して素晴らしい作品を残している。Nando Carneiroに至ってはGismontiのLabel Carmoからソロ・アルバムもリリースしている。Rio de Janeiroで70年代に結成されたA Barca Do Solもまた、ジャンルの壁を越えTimelessな音楽を創造してきたBrasilが世界に誇る存在なのである。Copacabanaの大学でNando CarneiroとMuri Costaが出会ったことからバンドの歴史は始まる。2人はギターを弾き、Marcelo "Gordo"CostaがPercussionで加わってTrioとなった。その演奏を聴いたDori Caymmiが彼らに4人のMusicianを紹介した。ViolinとCello奏者のJaques MorelenbaumとFlute奏者のMarcelo Bernardes、ViolonistaのBeto Rezende、Bass奏者のMarcos Stulである。Gismontiがアルバムでギターやピアノを弾いていることでも知られるSinger-SongwriterのPiry Reisのバックで演奏して実力を認められた彼らは上述のデビュー・アルバムをContinentalからリリースする。A Barca Do Solは全部で3枚のアルバムを残しているが、本作は最終作となった3rdアルバムである。残念ながら、Jaques MorelenbaumはBostonのNew England Conservatory of MusicでCelloを学ぶために脱退しており、1stアルバム録音後にMarcos Stullは脱退しMarcelo BernardesもConservatório Nacional Superior de Música e Dança de Parisに旅立った。ベースにAlain Pierre Magalhaes、FluteにDavid Gane(Gang)が加わった。素朴なFolk色が薄れて、よりJazz Rockな要素が強まった。彼らが参加した78年にリリースされたOliviaことOlivia Byingtonのデビュー・アルバム『Corra O Risco』も素晴らしい出来。
『Pirata』はA Barca Do Solが79年にリリースしたアルバム。Continentalから2枚のアルバムをリリースし、本作は自主制作された最後のアルバムとなった。Produceはバンド自身が行いMorelenbaum脱退を受けてNando Carneiroの色合いが強まり音楽性は変化したが楽曲の良さと優美なAcoustic楽器のEnsembleと甘美でMagicalなChorusは相変わらず素晴らしい。全曲歌良し演奏良し名曲で最高である。
アルバム1曲目はメンバーが楽器なしで歌って始まる“Vô Mimbora Pru Sertão”で始まる。土着的なChorusもバッチリで素晴らしいOpener。そしてBerimbauがかき鳴らされると“Tereza Boca Do Rio”が始まる。軽やかにFluteが宙を舞い、これまた絶品のChorusがMagicalで甘美な魔境へと誘う。
“Mercado Das Flores”もBahia由来のAfro Brazilianな香りに包まれる中、浮遊感漂うMagicalなChorus、Fluteが独自の音世界を創り上げている。Gismontiを彷彿とさせる超絶技巧のギターも見事にEnsembleに溶け込み、素晴らしいとしか言いようがない。
“Cavalo Marinho”もGentleで包み込むようなVocalとClassicalで典雅なギターが絶品の歌モノ。
Fender Rhodesで始まる疾走感に溢れる“Jando”はジャケットを思わせるが、そこまで怪しくなく、爽快な祝祭感でFluteとScatが駈けぬける。
前述のOliviaのアルバム提供曲で本人も参加し夢見心地の歌声を聴かせる“Jardim De Infância”。
“Desencontr”は優美な旋律を歌うVocalに幻想的なChorusが最高。
美麗なピアノで始まり官能的なギター・ソロで昇天してしまう“Estrela”。
“Manoel”はFretless Bassで始まり摩訶不思議な世界を徘徊する。
“Rio Preto”はスリリングなキメが激カッコイイJazz Rock.。
アルバム最後を飾るのは“Canção Para Ela”。MagcalなピアノとFluteで始まり、生命感に満ち溢れた美しいVocalにグッとくる。
(Hit-C Fiore)