Gallagher & LyleはRonnie Lane and The Slim Chanceで初めてその存在を知ったのだった。そこから、彼らが参加していたMcGuinness Flintに辿り着き、まあ後は英国音楽の深みに例によって入り込んでいくのであった。Scotland出身のSongwriter Duoである彼らは、50年代末にGraham Lyleがギタリストをつとめていた地元のSoul BandにBenny Gallagherがベーシストとして加入し、Songwritingを2人で開始したところから始まる。最初は他人への楽曲提供でその名を高めていった彼らであるが、67年にLondonに進出すると、The London Jazz FourのProduceなどを手掛けたThe New Jazz Orchestra~ColosseumのベーシストTony ReevesのProduceでPolydorから7"シングル“Trees”をGallagher-Lyleとしてリリースしデビューする。またApple Recordsと契約してMary Hopkinへの楽曲提供と音楽活動をサポートした。また、68年にはThe Cups名義で“Good As Gold”という7"シングルを発表している。同年末にはTony Reevesの紹介でManfred MannのTom McGuinnessとJohn Mayall & the BluesbreakersのHughie Flintと鍵盤奏者のDennis Coulsonと共に上述のMcGuinness Flintを結成する。Glyn JohnsのProduceで70年に『McGuinness Flint』、71年に『Happy Birthday, Ruthy Baby』をリリースするとGallagher & Lyleは独立し72年にデビュー・アルバム『Benny Gallagher Graham Lyle』をリリースするのであった。本作は翌年にリリースされた彼らの2ndアルバムとなる。Hughie FlintやPete Townshend、Bruce Rowlandらのゲストを迎えながらも基本はAcousticでFolkyな心和ませる英国音楽。Pastralで詩情豊かに描かれていく世界はこの時期の彼ら独特の魅力である。Produceは前作に引き続きGlyn Johns。派手さや奇を衒ったところがなく地味に感じられるかもしれないが、英国の田園風景が思い浮かぶこの歌と演奏はじわじわと沁みてくるのである。
『Willie and The Lapdog』はGallagher & Lyleが73年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は彼ららしいPastralな情景が思い浮かぶ“Willie”。仄々としたVocalに温かみを感じさせるChorus、それらに絡むMandolinやFiddle、そしてHarmonicaがイイ感じですな。
“Home”もChorusがバッチリキマって雰囲気タップリ英国詩情に満ちたAcousticなWaltz。
なんとPete TownshendがBass Harmonicaで参加した“Give A Boy A Break”。これまた何とも牧歌的でCountry風味が英国の中の亜米利加なナンバー。
Hughie Flintがドラムスを担当した“Sittin' Down Music”。このFolkyでPopな味わいがたまらんすなあ。
“Dan”は温もりを感じさせるAcoustic Guitarの弾き語りにHarmonicaが絡んでくるところが最高。
小鳥の囀りで始まる“Among The Birks”も陽だまりFolkなAcoustic Guitarの弾き語り。
B面はFlintがドラムを叩くナンバーが2曲続く。まずはタイトル通りGospelな香りが仄かに漂う“Jesus Save Me”。
アルバムで一番お気に入りのAcoustic Blues“S.S. Man”。ここでもHarmonicaがイイ感じ。
“Hotel Constantine”も染み染みとしてしまう英国田園Pop。
哀感を帯びた歌声がイイ感じの弾き語り“The Lap Dog”。
Fender Rhodesが愁いを帯びたVocalと織り成す英国抒情がたまらない“Harmonium”。
アルバム最後をシメるのはBrian Rogersの指揮による典雅なStringsが盛り上げる“Thoughts From A Station”。グッときますなあ。
(Hit-C Fiore)