いやあ、これはジャケットも最高だし中身も勿論ご機嫌なBritish Swampの傑作なのである。Glasgow出身のBlue-Eyed Soul Singerとして知られるFrankie Miller率いるThe Frankie Miller Bandが唯一残したアルバムが本作である。なんといっても鍵盤にWynder K. FrogのMick Weaver、ギターにHenry McCulloughとくれば、もう内容の良さは約束されたようなものである。ベースにはEire Apparent~Spooky ToothのChris Stewart、ドラムスはJellyroll~Blue RoseのStu Perry。これに曲によってThe Memphis HornsとEdwin Hawkins Singersが加わるのだから、気分はすっかり米国南部、ドップリSouthern Soulなわけである。そして英米混合によるバックの演奏陣がそれぞれ魂入った燻し銀の名演でMillerのVocalを盛り立てていくのであるが、そこはやっぱりBritish Rockならではの渋みと翳り、そして重さがそこかしこから伝わってきて英国産SoulとしてのIdentiyも失われずにいるのが素晴らしい。決して派手さがある音ではないし、Catchyでもなければ洗練さからもほど遠いし、楽曲も個性に満ち溢れているわけでもない、それでも心にガッツリ訴えかけてくるのは Frankie MillerというVocalistの熱い魂が聴いている者に問答無用で伝わってくるからである。それがバックの演奏陣の名人芸と共に土くさくて暖かみのある、そしてどこか哀感のある音楽として心を鷲掴みにするのである。Millerにとって前作となる2ndアルバム『High Life』で米国に出向いてAllen ToussaintのProduceによる手ごたえのある作品を作り上げた自信もあるのだろう、本作も米国録音でMaestro Elliot MazerをProducerに迎えている。本作にかけるMillerの情熱が伝わってくる。そして、あくまでもバンド演奏にこだわった結果、この名作が誕生したといっても良いだろう。
『The Rock』はThe Frankie Miller Bandがリリースしたアルバム。
アルバム1発目はAndy Frazer作の”A Fool In Love”。Horn 隊と女性Chorusを従えてSoulfulなMillerのVocalが炸裂。Mick WeaverのHammondが激渋カッコイイ。
重たいRhythm Sectionと翳りがBritish然とした“The Heartbreak”。ここでもHorn隊とHammondが派手さはないけれど絶妙のバッキング。
アルバム・タイトル曲“The Rock”。Chorus陣や演奏も含めて明るい曲調だが、本作がレコーディングされたSan FranciscoのAlcatraz刑務所に収監されているいとこの囚人に捧げられた歌である。
“I Know Why The Sun Don't Shine”も英国特有の重量感を感じさせる激渋Soulに仕上がっている。
ピアノが軽快に跳ねる“Hard On The Levee”はみっぇrの投げやり気味に歌うVocalがWildでイイ感じ。
StonesやFacesのようなRockin'なギターがカッコイイ“Ain't Got no Money”。MillerのVocalはあくまでもSoulful。
Horn隊と女性Corusを従えたSlow Ballad“All My Love To You”は沁みますなあ。
これまたSwamp期のStonesのようなサウンドがカッコイイ“I'm Old Enough”。Millerの激カッコイイFakeに痺れっぱなし。
ピアノで始まる“Bridgeton”。Henry McCulloughのSlideとWeaverのHammondががたまりませんなあ。
アルバム最後をシメるのはAcoustic Guitaをジャンジャカ鳴らしての渋い弾き語り“Drunken Nights in the City”。切々と歌い上げるMillerのVocalがグッときますなあ。
(Hit-C Fiore)