Little Johnny TaylorのGospel仕込みのVocalはいつの時代が好みか?それは人によって違うだろうけれど、個人的には70年代初期のJewell傘下のRonn時代の作品が大いに気に入っている。一方、Billboard R&B ChartでNo.1を獲得したClay Hammond作の“Part Time Love”のヒットを飛ばし一躍その名を全国区にしたGalaxy時代のTaylor。この20代頃の怖いもの知らずでAggressiveに切れ込むTaylorのキレとコクがあるGospel Bluesは確かに素晴らしい。伸びのある高音を生かしEdgeのきいたVocalがグサッと突き刺さってくる。時に金属的ともいえるSharpな高音のShoutが連呼されると、少々好き嫌いを分けるかもしれない。それにしても、Ronn時代のTaylorの懐の広いBluesもまた魅力的なのだ。南部出身らしくSouthern Soulの味を加えて、熟成されたVocalはグッとくるものがる。従来の黒々としてPowerfulにグイグイ突き進むVocalにまろやかさと引きの美学も加わって、重厚でありながら時にふと哀感を漂わせてみたり、時にマッタリしてみたりとか、表現力も増して芸風が拡がっていったのがRonn時代である。Arkansas州はGregory生まれのLittle Johnny TaylorはGospel Singerとしてキャリアをスタートさせている。50年代にLos Angelesに拠点を移し、伝統的なGospel Musicを歌うMighty Clouds of Joyに参加している。“Fever”のヒットで知られるLittle Willie JohnのVocalに影響を受けたというTaylorであるが、Gospel基調の力強さやDeepな味わいのある歌いっぷりがTaylor独自の個性である。本作はRonnに移籍して2作目となるアルバムとなる。時代的にもよりSoul色が増しているのが興味深くバックの音もほどほどFunkyなのが良い。エレピや女性Chorusがイイ味を出している。60年代からSoulとも共鳴していくTaylorのBluesはより円熟味を増し、重厚なBobby "Blue" Bland、艶やかで滑らかなJunior Parkerとはまた一味違った魅力を持ったModern Blues Singerである。80年代に移籍したIchiban Records時代も結構いけるのである。
『Open House At My House』はLittle Johnny Taylorが73年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目“Open House At My House, Part 1”はいきなりのShoutでやられますわ。タメのきいたRhythmに気持ち良く転がるピアノ、Horn隊も抑制が効いてTaylorVocalをひき立てている。
Funkyなエレピで始まる“You´re Not The Only One Baby (That´s Got Someone Across Town)”。こちらもTaylorの伸びのある高音がビシッとキマってイイ感じ。
“My Special Rose”は泣きのSlow Ballad。イントロのHorn隊とギターでもう胸が一杯、そして抑え気味に始まるTaylorのVocalがたまりまへんな。
渋めにキメた“A Thousand Miles Away”は都会に生きる男の色気と南部男の逞しさが同居したような歌いっぷりが素晴らしい。
勢いのあるFunkyなBeatにのってキレキレのTaylorが楽しめる“I Can´t Stop Loving You”。
“What Would I Do (Without You)”は黒々としたSoulが炸裂するナイスなMidium。バックのFunkyなリズム隊やChorusも良し。
B面は“Open House At My House, Part 2”で始まる。力強いTaylorの歌いっぷりとSaxとの掛け合いもご機嫌である。
ゆったりした懐の深いBeatにのってShoutも冴える“You´re Savin' Your Best Loving For Me”。
Funkyな“As Long As I Don´t See You”はEdgeのきいたTaylorのVocalが鋭角的にビシバシ突き刺さる。
エレピとギターのカッティングが気持ち良い“Strange Bed With A Bad Head”。
アルバム最後をシメるのはご機嫌なFunky Blues“I´ll Make It Worth Your While”。
(Hit-C Fiore)