大好きなGiacomoおじさんこそ登場しないが大好きなBanco Del Mutuo Soccorsoのアルバムの中で五本指に確実に入るお気に入りのアルバムである。Luigi Faccini監督による76年公開の映画『Garofano Rosso』(邦題『赤いカーネーション』)のサントラ盤である。バンドにとってFrancesco Di GiacomoというVocalistの存在はなくてはならない大きなものであるのは確かではあるが、ご存知の通り、Banco Del Mutuo Soccorsoは同時期のItalyのバンド同様に優れた演奏技術を持ったMusicianが揃っており、インスト演奏だけでも十分に聴かせてくれる実力を持っているのである。鍵盤を担当するVittorioとGianniのNocenzi兄弟やJazzやClassivcalな要素も取り入れたギターも得意とし、Trumpetも演奏するギタリストRodolfo Maltese、ベースのRenato D'AngeloとドラムスのPierluigi Calderoniのリズム隊もArti e MestieriやAreaのような派手さこそないが緩急自在、変拍子も難なくこなし安定し躍動感のあるBeatを生み出している実力派だ。本作ではサントラ盤ということもあって、短いながらもImaginativeな楽曲と演奏が楽しめる楽曲が次から次に飛び出す内容となっている。特に本作ではピアノやTrumpet、Clarinet、French Horn、Violin、Vibraphone、Acoustic Guitar、ContrabassなどAcoustic楽器をまじえて、Jazzや民族音楽の要素も取り入れながらBancoらしい変幻自在のMagicalな展開をみせる曲調が素晴らしい。特にItalyらしい歌心や南欧詩情も漂う旋律はグッとくるところがある。本作はBanco Del Mutuo Soccorso自身のProduceで、楽曲はVittorioとGianniのNocenzi兄弟、ギタリストのRodolfoが、それぞれ提供している。VittorioはOrgan、Synthesizer、ViolinにVibraphoneを演奏し、Gianniはピアノ、エレピ、Synthesizer、Clarinetを演奏している。RodolfoもアコギやTrumpet、French Hornを演奏している。個人的にはRollが実に心地良いタイミングで入るPierluigiの変幻自在のドラミングに感心させられた。
『Garofano Rosso』はBanco Del Mutuo Soccorsoが手掛けたLuigi Faccini監督による76年公開の同名映画のサントラ盤。
アルバム1曲目は“Zobeida”。高らかにTrumpetが鳴り響き、FunkyなHommondもイイ感じ。ピアノも心なしかBluesyでこれが最高。
Banco Del Mutuo SoccorsoらしいClassicalでMagicalなイントロで始まる“Funerale”。途中の電子音からピアノとTrumpetが入ってくるところが良い。哀愁に満ちたThemeが切なく胸に響く。
群衆の声、そしてGianni Nocenziのアタックの強いピアノが現代音楽風のRiffを刻む“10 Giugno 1924”。民族音楽風のRhythmも飛び出し、Abstractな中に土着的な、そして仄かに漂うGentle Giantの香りが実に魅力的だ。
“Quasi Saltarello”は鍵盤を中心に典雅なEnsembleに酔いしれる。
素晴らしいAcoustic Guitarが登場する欧州詩情に満ちた“Esterno Notte (Casa Di Giovanna)”はアルバムで一番のお気に入りのナンバー。
タイトル曲“Garofano Rosso”は変幻自在のBancoらしい曲展開で、ここでもSynthesizerに負けじとHammondとピアノがイイ味を出している。
物悲しいピアノで始まる“Suggestioni Di Un Ritorno In Campagna”。そしてBancoらしい変拍子をまじえたMagicalなRiffが絡み、地中海の香り漂う旋律が奏でられると演奏は次第に盛り上がっていく。ここでのPierluigiのドラミングが実に素晴らしい。
Clarinetなど管楽器が次々に重なるEnsembleが面白い“Passeggiata In Bicicletta E Corteo Dei Dimostranti”。Gianniのピアノを合図にスリリングな展開に。
GianniのLyricalなピアノが印象的な“Tema Di Giovanna”。
管楽器による典雅なRiffが気持ち良い“Siracusa: Appunti D'Epoca”。
Mysteriousなんだけど、どこか郷愁を誘う“Notturno Breve”。
アルバム最後を飾るのは壮大な“Lasciando La Casa Antica”。
(Hit-C Fiore)