お気に入りのPolandの才能に満ちたSax奏者Zbigniew Namyslowskiを初めて知ったのは大好きな同国の天才ピアニストKrzysztof Komedaのアルバム『Astigmatic』であった。そしてKomedaのピアノ同様にTrumpet奏者Tomasz StańkoやNamyslowskiのAlto Saxに心を射抜かれてしまったのだ。PolandのJazzに一気に夢中になって、彼らのような魅力的な演奏をするMusicianの、何とも読みにくい名前を手掛かりに、当時手に入りにくかった彼らのアルバムを何とか手に入れようと試行錯誤したものだ。今でこそ、CDでもReisueされてNamyslowskiのアルバムも随分手に入りやすくなった。最初はMichał Urbaniakのアルバムに始まり、そこから辿り着いたKomedaから StańkoやNamyslowskiときて、もう底なし沼のように彼らの音楽に夢中になっていった。丁度、米国の王道Jazzを一通り聴いてきて、欧州の個性的なJazzを聴き始めていた頃であった。最初に手に入れたNamyslowskiがAlto Sax以外にCelloやPianoまで演奏し変拍子キメまくりの73年のアルバム『Winobranie』の衝撃は今でも忘れられない。そこにはEgberto GismontiやHermeto Pascoalのような母国の伝統音楽をIdentityとしながらも新しい地平を切り開き、ジャンルを越境し、尚且つ躍動感に満ちて心地良さを感じさせる彼ら自身の音楽としか言いようがない独創性と摩訶不思議な個性がCoolに輝きを放っていたのだ。本作はベースに大好きなPaweł Jarzębski、SopranoとTenor SaxのTomasz Szukalskiという『Winobranie』のメンツにドラムスはZbigniew Namylowski QuartetやNovi Singers、Michal Urbaniak's Groupでお馴染みのCzesław Bartkowski、そして鍵盤は、NamyslowskiやStańkoも参加した大好きなアルバム『Easy!』でご機嫌なOrganを弾いていたWojciech KarolakがエレピをCool且つFunkyに弾きまくり。アルバム・タイトルから想像させる激Funkyというよりは Namyslowski流のBlack Musicを取り入れたFunkyという感じで、これまた最高なのである。
『Kujaviak Goes Funky』はZbigniew Namyslowski Quintetが75年にPolskie Nagrania Muzaからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Gesówka”。Wojciech KarolakのCoolなエレピとPaweł Jarzębskiのウネリまくるベースが心地良い。5拍子を上手く使ったRiffで自然に聴かせてしまうThemeからマッタリ5拍子のWaltz風に展開するあたりがNamyslowskiらしい。勿論、Namyslowskiも気合の入ったBlowしまくりで、時にSoulfulでGospelっぽささえ感じさせる黒さが漲っているのが興味深い。
15拍子のRiffが気持ち良すぎる“Appenzeller's Dance”。変拍子でも躍動するリズム隊にのってFunkyでご機嫌にキメまくるエレピとSaxが最高。エンディングがToraditionalで牧歌的になってしまうところもNamyslowskiらしさに満ちている。
エレピとAlto Saxによる幻想的なイントロから惹きこまれてしまう“Smutny Jasio (Sad Little Johnny)”。Karolakの煌くエレピが浮遊し、リズム隊が遊ぶFree寄りな演奏から、PolandらしいAbstractで青白い炎が燃えるようなCoolでHard-Boiledな演奏へ展開する。緩急自在、そして叩きまくりなのに煩く感じさせないCzesław Bartkowskiのドラミングが光る。
MinimalなフレーズでNucleusやSoft Machineっぽさも感じさせるイントロがイイ感じの“Quiet Afternoon”。ModalでCoolな装いをみせながら、徐々に、NamyslowskiのAlto Saxがツボを突くフレーズを繰り出して、じわじわとEroticなまでに昇りつめていくような展開が素晴らしい。
アルバム最後をシメるのは軽快に変拍子をキメながら心地良ささえ感じさせる“Zabłąkana Owieczka (Little Lamb Lost)”。6拍子にのってNamyslowskiもTomasz Szukalskiも気持ち良さそうにBlowする。ここでもPolandの伝統音楽を取り入れながらジャンルを軽々と越えていく。
(Hit-C Fiore)