Illusions On A Double Dimple/Triumvirat | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

    本年も宜しくお願い致します。

  

 Triumviratは60年代末にドイツのCologneで結成された3人組のバンド。彼らもまた、当時、欧州を中心に数多く誕生したTrio編成になってからのThe NiceEmerson, Lake & PalmerELP)に影響を受けた鍵盤奏者を中心とした3人編成。72年にHarvestからデビュー・アルバム『Mediterranean Tales (Across The Waters)』をリリースしている。その時は鍵盤奏者HammonやHans-Jürgen FritzにベースのHans Pape、ドラムスのHans Batheltというメンツであった。本作では制作途中にメンバー・チェンジがあったのかA面ではHans Papeがベースを弾いているがギターで参加しているWerner FrangenbergがB面ではベースも弾いている。そのままFrangenbergがPapeの後任のベースとなって翌年75年にそのままTrio編成で次作『Spartacus』をリリースする。Keith Emersonに多大な影響を受けたFritzがHammondやMoog Synthesizer、SteinwayのGround Piano、エレピを多彩に駆使して畳みかけていく様は正にドイツのELPに相応しい。FritzのClassicalな素養を生かしたプレイ・スタイルと手数の多いドラムス、ドイツ語ではなく英語による歌詞、そして何よりBritish Rock志向のサウンド、メンバー編成が確かにELPを連想させるのは確かであるが、EmersonにあるJazzやBluesの要素を薄めて、よりClassicalでWildさより端正な部分を強調したFritzの鍵盤さばきとCarl Parmerのように叩きまくりではあるが、バタバタしつつも、ドイツらしい羽目を外し過ぎずリズムを崩さず、力技で引っ張っていくあたりが興味深い。本作では女性Chorusの導入が効果的だ。また、StringsBrassを導入し、The Cologne Opera House OrchestraKurt Edelhagen Brass Sectionを従えて、かなり気合の入った力作に仕上げている。A面もB面もそれぞれ“Illusions On A Double Dimple”、“Mister Ten Percent”という20分越えの組曲で固めたあたりもELPを意識しているようだ。

 

 『Illusions On A Double Dimple』はTriumviratが74年にリリースしたアルバム。

A面すべてを使ったアルバム・タイトルの組曲“Illusions On A Double Dimple”で始まる。

 まずは優美なピアノの弾き語り風に始まる“Flashback”。歌詞は英語である。

続いてはいよいよHammondが唸りMoogがウネるSchooldays”。女性Chorusも絡みながらHans Batheltの手数の多いドラムスにのってHans-Jürgen FritzがHammondでこれでもかと攻めたてる。Werner Frangenbergのアコギも地味ながら何気にイイ味を出している。

アコピのRiffにMoogが絡んで進行していく“Triangle”。疾走感に溢れる展開から5拍子を挟んで、目まぐるしくリズム・チェンジするリズム隊にのってHammondやSynthesizerが暴れまくり、スリリングに展開していく。バタバタしたドラムス女性ChorusとHammondやSynthesizerが入り乱れる様がお腹いっぱい。

Illusions”は重厚なピアノの調べで始まり抒情的な歌モノになる。

Dimplicity”は女性ChorusStringsも入ったロッキンな歌モノ

これまでの流れを振り返るように再びアコピのRiffや5拍子が登場するインスト“Last Dance”。最後は熱血リズム隊にのりHammond弾き倒し

B面も全てを使った“Mister Ten Percent”という組曲で固めている。

6+6+4の16拍子の“Maze”は時にSypersister風なRiffが飛び出すのが面白い。

典雅なピアノの調べが駈けぬける“Dawning”。

野卑な男の声で始まる“Bad Deal”はChorus隊Brass隊が盛り上げまくり。

Roundabout”はスリリングな畳みかけ緩急自在の展開がELPを思わせる。キレキレのHammondがカッコイイ。

Acoustic Guitar歌い上げのVocal、そしてMoogソロとなるああたりがELPの“Lucky Girl”。

最後になって、ようやくBluesyなHammonソロdが炸裂する“Million Dollars”。最後はStringsとBrass隊をバックDramaticにVocalが歌い上げていく。

(Hit-C Fiore)