MandukaことAlexandre Manuel Thiago de MelloはPetrópolis生まれのSinger-Songwriter。Brazilの有名な詩人Thiago de Melloの息子である。何とも形容しがたいアフロが爆発した髪型をした本人のアップの写真が強烈な印象を残す本盤はChileのIRTというレーベルからリリースされている。Mandukaは若き日に母国Brazilを後にしてChileに渡って何年か過ごしたのであった。その後Argenina、そして欧州へと旅立ったManduka。50代前半という若さで、余りにも早すぎる人生の幕を閉じたMandukaであるが、寡作でありながら残したアルバムは非常に質が高いものとなっている。本作はそんなMandukaが二十歳になったかならないぐらいの若さでChilieで現地のMusician達と創り上げたデビュー・アルバムであり永遠に輝き続ける傑作だ。楽曲の核となるのはMandukaのAcoustic GuitarとVocalである。バックはBongoやCongaなどのPecussionに時折FluteやHarmonica、Charangoが加わるSimpleなものだ。ChileのRock Grup Los JaivasのメンバーEduardo ParraとGabriel ParraにQuilapayúnのメンバーだったPatricio CastilloやJulio Numhauser、Venezuelaの女性SingerであるSoledad Bravo、、Baltasar VillasecaといったメンツがMagicalなメロディを歌い上げるMandukaの繊細なVocalと共にAcousticでAmbientな世界を創り出している。それはPremitiveでSimpleなゆえに幽玄で静謐な、そして時にPsychedelicともいうべきTrip感を伴い、時間と空間を歪ませて永遠に鳴り響く調べのようである。76年にリリースされた次作となる『Manduka』はあのNaná VasconcelosがPercussionとVoiceで参加して、より深遠で幻想的な世界を描き出している。Uruguayの鬼才Jaime RoosをベースでEduardo Mateoとの共演で知られるJorge TrasanteをPercussionで迎えた78年の『Caravana』も生命感に満ちた傑作である。今でこそ、これらの作品は評価されるべきであろう。Eduardo Mateoのが残してくれた作品のように、その世界観は南米の現在進行形の音楽と共鳴するものであり、永遠に輝き続ける普遍的な音楽がそこにあるのだから。
『Manduka』はMandukaが72年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はいきなり10分越えの大曲“Brasil 1500”。PercussionのみをバックにしAcoustic Guitarの弾き語りが始まる。哀し気に鳴り響くPatricio CastilloのFluteに続いて管楽器のように聴こえるのは本人のScatであろうか。1500というのはPedro Álvares CabralによってBrazilが発見された年である。つまり、そこからBrazil先住民の人々の苦難の植民地時代が始まる。Portugalの探検家Vasco da Gamaの名前も飛び出す。後半のPercussionとVocalのみになるところが圧巻だ。まるで薄闇の中に佇んでいるかの如く幽玄でDarkな世界が展開されていくが、Mandukaの生み出す旋律が中々魅力的だ。
“Entra Y Sale”はVenezuelaの女性SingerであるSoledad BravoとのDuetで、これまたAcoustic GuitarとPercussionに2人のScat合戦が深遠である。
“Naranjita”はPeruのTraditional Musicで、これが静謐な美しさに満ちたナンバーに仕上がっている。
“De La Tierra”もFluteとHarmonicaや本人が弾くギターのフレーズが効果的に使われた美しいメロディを持ったDopeなナンバー。
“Patria Amada Idolatrada Salve Salve”はMandukaに続くSoledad Bravoの哀しみを湛えた歌声が素晴らしい。後半の2人のDuetがグッとくる。
“Oiticumana”はアコギをジャンジャカかき鳴らしながらMandukaのScatがカッコイイ。
“De Un Extranjero”はMandukaのComposerとしての高い才能を感じさせる名曲。Harmonicaがアコギと鳴り響く中、例えようのない美しくMagicalな旋律をEnnuiに歌うMandukaが素晴らしい。PsychedelicなTrip感を伴ったこの曲の美しさを何といったら良いのか?後半のFlute・ソロもイイ味を出している。
アルバム最後を飾るのは“Qué Dirá El Santo Padre”。アコギをジャンジャカかき鳴らし、土着的で生命感に満ちたVocalを聴かせてくれる。小鳥のさえずりもイイ感じ。
(Hit-C Fiore)