De Todas Maneras/Rodolfo Mederos | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Astor PiazzollaEgberto Gismontiという偉大な音楽家二人がParisに留学してNadia Boulangerに学び、その結果として二人とも母国の音楽自己のIdentityを見出していくという話は興味深い。JazzClassical Musicの要素を取り入れTangoに新しい命を与えた革命者Piazzolla、その偉大な功績はさることながら、その後継者は誰になるのだろうか?Piazzolla自身が指名した音楽家としてはRichard Gallianoが知られるところだが、本日ご紹介するRodolfo Mederosもまた、若き日にPiazzollaに見いだされ、後継者と目されていた一人だ。Entre Ríos Provinceで育ちUniversity of Córdobaで生物学を学んだMederosはPiazzollaに憧れBandneon奏者としてプロの道に進む。Mederosは自らのOctetを結成し60年代にTVやRadioで活躍した。Piazzollaに認められ名Bandneon奏者Osvaldo Lino Ruggieroらメンバーが離脱して解散の危機にあった名門Osvaldo Pugliese Orchestraに加入し腕を磨いていく。しかし、MederosはTraditionalなTangoの世界からPost PiazzollaPost Tangoへと道を進んでいくのであった。天才Luis Alberto Spinetta率いるAlmendraのデビュー・アルバムにして大傑作『Amendra』や鬼才Billy BondLa Pesadaの快作『Buenos Aires Blus』への参加を経てRockJazzの要素を取り入れた自らのTangoを生み出すべくOsvaldo Pugliese楽団時代の同僚でQuinteto Guardia Nuevaを結成していたDaniel BinelliJuán José Mosaliniという2人のBandneonistaを誘いGeneración Cero(ゼロの世代)を結成する。ドラムスにはQuinteplusJorge López Ruiz 5の名手Jorge Pocho Lapouble、ベースにはRicardo Salas、そしてAstor PiazzollaとやっていたSax奏者Arturo Schneiderを加えた布陣でMederosはRodolfo Mederos Y Generación Cero名義の最初のアルバム『Fuera De Broma』を73年に録音する。同作は結局76年にリリースされ、続く本作は翌77年にリリースされている。

 

  『De Todas Maneras』はRodolfo Mederos Y Generación Cero77年にリリースしたアルバム。本作ではBandneon奏者はMederos一人になり、引き続きFluteにはArturo Schneider、新たにギターに元InvisibleでPiazzolaの『Olympia 77』に参加しているTomás Gubitsch、ベースにEduardo Criscuolo、そしてEspirituというバンドから鍵盤のGustavo FedelとドラムスのRodolfo Messinaが参加している。前作よりLyricalでSymphonicな部分が強調され、よりRock色が強まっている。

アルバム1曲目はタイトル曲“De Todas Maneras”。哀感漂うBandneonの音色に心を奪われ、Gubitschのテクニカルなギター・ソロが素晴らしいがFedelのSynthesizerやドラム・ソロを聴かせるMessinaのプレイもJazz Rock然として良い。

El Lugar Donde Vivo (Nuestros Hijos)”もまた何とも切ない旋律を持った哀愁のナンバー。Lyricalで泣けと言わんばかりのGubitschのギターとMederosのBandneonがグッとくる。

Triste Diciembre”はBandneonArturo SchneiderFluteの調べに酔いしれていると、Gubitschの歪ませたギターStrings Synthesizerをバックにした哀愁のJazz Rockに展開していく。これはグッと込み上げてくるものがありますな。この曲のみPocho Lapoubleがドラムスを叩きClaudio Ragazziがギターで参加している。

El Largo Adiós”はArpeggioをバックにRodolfoが、これまた切なく哀しみに満ちた旋律をBandeneonで奏でる。超絶なアコギ・ソロも飛び出す。

Cada Día, Cada Noche”はGubitschのギターが炸裂するLyricalで情熱的な南米らしいJazz Rock。

Verano 1976”はFedelの典雅なピアノで始まりアコギの調べAnalía LovatoEnnuiなScatが雰囲気たっぷりだ。

Más Vale Cien Volando”もLovatoのScatがFeatureされたSymphonicなナンバー。

アルバム最後を飾るのはBandneonが躍動するJazz RockのBeatにのって唯一無比の世界を描く“Todo Ayer”。途中の抒情的な展開を経て盛り上がっていく構成も最高。

(Hit-C Fiore)