Richard GallianoはFranceのCannes出身の大好きなAccordion奏者。AccordionというよりもParisの街角で響くMusetteというのがRichard Gallianoには似つかわしい。お気に入りのフランスのLabel Label Bleuからリリースされた本作がGallianoとの出会いであった。91年4月に行われたParisのSCEAUXでのLiveを収録した本盤。ジャンルを飛び越えて豊かな表現力を持ち、緩急自在で時に哀感に満ち、時に鋭くスリリングにAccordionを奏でるGallianoの魅力がLiveで思う存分発揮されている。何といってもギターに欧州的な典雅さを持ち官能的なプレイも得意とするPhilip Catherineを迎えているのが嬉しい。またベースにはDjango Reinhardtや Stéphane Grappelliと共演した名手Pierre Michelot、ドラムスは、これまた大好きな欧州を代表する名Drummer Aldo Romanoなのである。Astor Piazzollaと共演しPiazzollaに唯一認められた蛇腹楽器奏者であるGalliano。Piazzollaの魂を現代に伝える後継者として、ジャンル越境の活動を続けてきたGallianoは、これまでもMichel PortalやEddy LouissといったFrench Jazz界の優れたMusicianとも共演してきたが、本作のメンツは、そんなGallianoの音楽性を最大限に発揮できるVersatileで才能に満ちたMusicianが集まっている。CatherineもRomanoもMichelotも、JazzやTangoやLatin音楽など民族音楽に至るまでお手のものの腕達者なのである。そしてGallianoのCmposerとしての実力がオリジナル曲の充実にみてとれる。2曲を除き全て魅力的な自作曲で固めた本作は、多彩で情感に満ちた素晴らしい楽曲揃いだ。ところで長いキャリアを誇るGallianoだが、Malicorneの81年作『Balançoire En Feu』でもAccordion/Babdoneonを弾いていたのであった。
『New Musette』はRichard Galliano Quartetが91年にリリースしたLive盤。
アルバム1曲目はElegantなJazz Waltz“Beritwalz”。Gallianoの流れ出すようなAccordionの音色に思わずウットリ。Catherineの官能的でEmotionalなギター・ソロも絶品のMinor Swig。
感傷的な旋律が奏でられる“Des Voiliers”。TangoのRhythmからギターだけになりAccordionがDuetを奏でるなど変幻自在の展開が素晴らしい。それにしてもギターとAccordionだけになって、これだけ詩情に満ち、感情に訴えかける音楽を奏でられると、もう何も言葉が出ない。グッときてしまう場面が何度も出てくる。とにかく、燃え上がるようなCatherineのギター・ソロも素晴らしい。
Parisんも下町にひっそりと響くような寂しげなメロディがたまらない“Le Clown Perdue”。悲しみを湛えたようなCherineのギターも良し。
“La Valse A Margaux”もWaltzのRhythmにのってGallianoの流麗な指さばきのAccordionが淀みなく旋律を紡ぎ出す。Catheroneのギター・ソロ、そしてPierre Michelotのベース・ソロ、Gallianoのソロへと続くあたりは何とも切なく胸をかきむしられるようである。
Eddy Louiss作の“Dum Dum Dum”。欧州的な翳りとBluesyな香りも漂うこういう曲でのGallianoが弾く抜群の表現力を持ったAccordionがまたイイ感じ。勿論お得意のフレーズも飛び出すCatherineのソロも最高。
”Giselle”は何となく郷愁を誘うような雰囲気を持った旋律が良い。ここでも動と静のContrastを見事につけるRhythm隊が地味ながらイイ仕事をしている。
“Corail”はアルバムの中ではチョッと雰囲気の変わったExoticな香りも漂うナンバー。
“Les Oiseaux”はGallianoの独奏で始まり疾走感に満ちたJazz Rockに展開するアルバムでも最も興奮してしまう大好きな曲。Romanoのドラム・ソロも有るが、なぜか尻切れトンボ。
“Laura Et Astor”は物哀しい旋律を持った小曲。
アルバム最後をシメるのはAstor Piazzollaの“Oblivion”。泣けますなあ。
(Hit-C Fiore)