70年代にドイツやフランス、英国で各国独自の様々な音楽性を持ったMusicianが次から次と登場し興味深い活動を行っていったElectronic Music SceneはItalyではどうだったんだろう?Italyからはどんな音楽が生まれていったのか?Italyの音楽家 Franco Leprinoが70年代後期にAldo PaganiのLabel Elevenからリリースしたアルバム『Integrati… Disintegrati』は、当時のItalyにおけるElectronic Musicの一つのSampleとして、非常に独自性に満ちた世界を楽しむことができる。German Electronic Musicの硬質で重厚な世界やフランスから登場した幻想的で浮遊感に満ちたEsprtを感じさせるElectronic Music、それらとはまた違ったCoolで無機的であるよりも、人間的な温もりを感じさせるItaly的な歌心と抒情性を感じさせるこのアルバムは、LeprinoのComposerとしての才能に加え、独特のAtmosphereric Soundscapeを生み出すSound Designerとしての魅力も伝わってくる。JazzやBlues、Rock、Soul、Funkではなくむしろ、そのルーツには西欧的な現代音楽や民族音楽が見え隠れするドイツやフランスのMusicianによるElectronic Musicは沢山あるが、Leprinoはより現代音楽に影響を受けているようだ。彼らの多くはClassicalな音楽をミッチリ学んできたBackgroundがあるが、Leprinoも同様であろう。特徴としてはOboeやFlute、Vibraphone、Acoustic GuitarといったAcousitic楽器の使い方の上手さと抑制された音響感覚の見事さであろうか。過剰に音を詰め込まず、Italy的でありながらも情熱やDramaticな楽曲構成よりもSound全体のBalanceを重視して、音響絵画性や物語性を持たせたところが個人的には気に入っている。
『Integrati… Disintegrati』はFranco Leprinoが77年にリリースしたアルバム。
A面もB面もアルバム・タイトル曲“Integrati… Disintegrati”の1曲のみという表記である。まずA面に針を落とすと、ぶっといAnalog SynthesizerのDroneがじわじわと時間の壁を通り抜けていく。Spacyな感覚に浸って思わず期待感が高まってしまう。続いてAcoustic GuitarのLyricalなArppegioが始まると、音宇宙の旅がいよいよ始まる。Minimalで幻想的なSynthesizerのフレーズが続き、やがてAcoustic GuitarとSynthesizerの反復が生み出すMagicalな音世界の中に佇み、何ものにも束縛されない自由な空間へ足を踏み入れていく。ピアノがRomanticな旋律を紡ぎ出し、赤ちゃんの泣き声などの効果音を織り交ぜながら、和みモードに浸っていると、SynthesizerとOrganが再びMysteriousに響き出す。ギターのHarmonics奏法や後半のギターのArppegioとStrings EnsembleにのってOboeがLyricalな調べを奏でていくところなどは圧巻である。とはいっても、過剰過ぎることなく、程よい甘さと抒情性が素晴らしい。
B面も“Integrati… Disintegrati”というタイトルの曲が全て。変調する電子音の響きが心地良さを生み出し、Synthesizerとギターのフレーズが絶妙のEnsembleを生み出す。続いて現代音楽的に不穏な和声、ギターの幻想的なArpeggio、MinimalなSynthesizerのフレーズに赤ちゃんの泣き声、嵐のようなSynthesizerが重なり合う。嵐が去ると再びA面の最後のようにギターのHarmonics奏法、ギターのArppegioとSynthesizer、そしてFluteのEnsembleが夢幻の世界へと誘う。後半はAbstractな電子音にSpacyなSynthesizerが鳴り響き、スケールの大きな世界へと展開していく。
(Hit-C Fiore)