BrazilのComposerでRitmistaでもあるArmando Vieira Marçalの息子として生まれたMestre MarçalことNilton Delfino Marçal(紛らわしいけれどCaetano VelosoやDjavan、Pat Metheny GroupやAmbitious Loversのアルバム『Greed』に参加しているPercussion奏者のArmando Marçal、あるいはMarçalzinhoことArmando de Souza MarçalはNiltonの息子さんである)は二代目Marçalである。つまり三代続いての名門Percussion奏者一族の一員であり、Mestre(巨匠、師匠)という称号を与えられるに相応しいSambaに真摯に向き合い、Sambaを愛し、Sambaを演奏しSambaに人生を捧げた真のSambistaである。父の背中を追い、10代からプロのキャリアを歩んだMarçalであるが、同時にEscola de Sambaの世界でも活躍して67年に移籍したPortelaではBateriaのDuretorを務めたが、Samba界以外でも活躍するMarçalに対する風当たりが強くなり、追われてしまったの残念だ。70年代にリリースされた、おそらく初のソロ・アルバム『Marçal interpreta Bide e Marçal』では初代Marçalの父Armandoの作品を歌い、Milton Nascimentoも参加しているのが興味深い。妥協を許さぬSambaの真摯な探求者であり、Chico BuarqueやCaetano VelosoといったMusicianから支持され作品にも参加したMarçalは、そのジャンルを越えた活躍ゆえに不遇な立場に追いやられてしまったのだろうか。もっと多くの人々に知ってほしい素晴らしいSambistaである。多重録音での圧巻のBateriaソロに圧倒される『A Incrivel Bateria Do Mestre Marçal』のようにBateristaとしての才能もさることながら、本作で聴くことができるMarçalのGentleで温かみのあるVocalもまた、個人的にはお気に入りなのだ。何より楽曲も粒寄りなのだ。Marçal名義でリリースされた本作はジャケットも含めて本当に大好きなSambaのアルバムである。
『Recompensa』はMarçalが85年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は軽やかで優美なViolãoの爪弾きで始まる“É Lá Que Eu Moro”。Marçalの優し気なVocalが入りPercussionが加わると思わず腰が動き出す。それにしてもメロディも魅力的なこの曲をMarçalが歌うと、なんて気持ち良いのだろう。
“Outra Alegria”はイントロの心地良いCarvalhoの音色に続いて温かいMarçalのVocal、そして男女混声Chorusが続くと何ともHappyな気分になって、思わず外に出かけてスキップを踏みたくなってしまう。これまた多幸感溢れる名曲。
男女混声Chorusを伴い軽快なRhythmにのって気持ち良さそうに歌う“A Janela Do Coração”。終始鳴り響くQuicaが最高である。
父Armando Vieira Marçalが書いた“Ando Na Orgia”。ああ、なんて幸せなんだろう、この前半だけで昇天である。
そして、極めつけはお馴染みAntonio Carlos Jobimの“Samba Do Avião”。抑え気味に歌うMarçalのVocalが絶品である。
MarçalがCaetano Velosoと一緒に歌う“Peço A Deus”はSlap BassやQuica、Chorusもイイ感じ。
陽気な中に途中でたまらなく切ないパートが挿入される、正にSamba“Como Era Verde O Meu Xingu”。後半のPercussionが入Chorusが加わるところは思わずグッときてしまう。
タイトル曲“Recompensa”もCarvalhoの響きが心地良い多幸感に満ちたSamba。
最後をシメるのはPercussionのみのインスト“O Bicho Vai Pegar”。
(Hit-C Fiore)