Hootenanny/The Replacements | BLACK CHERRY

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 The Replacementsはいつだって最高だ。そしてPaul Westerbergは今でも最高なのだ。デビュー・アルバム『Sorry Ma, Forgot to Take Out the Trash』を聴いた時はぶっ飛んだ。ジャケットからも想像できる荒々しいHardcore Punkであるが、Paul Westerbergの才能の迸りが熱く胸に迫ってくる。 Minnesota州のMinneapolis79年に結成されたThe Replacementsという4人組のバンドは、メンバー・チェンジを経ながらも、91年に解散するまで一部に熱狂的なファンを持ったCult的存在であった。彼らの初期と後期のサウンドの違いで、ファンも大きく分かれるだろう。 'The Mats, の愛称で知られ、スタイルが変わっても実力のわりに大きな成功を収めることのできなかったバンドではあるが、自分にとってはRoots Rockに接近していった後期の音も大好きであり、時折大好きなAlex Chiltonさえ思わせるPaul Westerbergの才能に惚れこみ、ソロになってからも追いかけていた。ギターとVocalのWesterbergにドラムスのChris Mars、ギターのBob Stinsonと弟のベーシストTommy Stinsonというメンツで始まったThe Replacementsの初期は愚直なまでに荒削りなPunkであった。しかし、勢い任せでゴリゴリ迫ってくる中に、魅力的なメロディすっとぼけた表情実は奥の深い音楽性も垣間見せており、単なるゴリ押しPunk Bandには終わらないであろうことは明らかであった。デビュー・アルバムに続く82年作『Stink』も激しさに満ちたPunkで大好きであるが、次作となる本作『Hootenanny』で、ついに彼らの本性が出てくるのだ。RockabillyCountryBluesThe Beatlsといった自身のRootsを暴れまわる音塊の中に紛れ込ませているが、それは自然発生的なものだろう。WesterbergのShoutと共に初期のPunkishな彼らを象徴するBob StensonのAggresiveなギターは健在だが、Westerbergの書くメロディはより深みを増している。StyleとしてはHardcoreなPunkから逸脱しつつあるが、AttitudeはいつだってPunkなのである。
 
 『Hootenanny』はThe Replacements83年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は人を食ったようなタイトル曲“Hootenanny”で始まる。この気の抜けたショボい音が何ともイイ感じだ。酔っぱらったような歌がこんなカッコイイ人はAlex Chiltonだけだ。全員が楽器を持ち替え、Westerbergがドラムを叩き、Chris MarsがLead Guitarを弾いてヨレヨレ感を出しているのも面白い。
一転して、初期の彼ららしいコレだよコレのぶっ飛ばしナンバーRun It”。
Color Me Impressed”もカッコ良すぎるギターとガンガン突き進んでいくBeatが最高。Bob Stinsonの攻撃的なギターも素晴らしい。
Darkな響きとAlternativeな空気感が漂う“Willpower”は後進のバンドにかなり大きな影響を与えたであろう。
これまたイントロのギターが激カッコイイ“Take Me Down To The Hospital”。Rockabilly Punkなノリが最高。
Mr. Whirly”はThe Replacementsらしさ全開の大好きなナンバー。The Baetlesの“Strawberry Fields Forever”のイントロを引用しPunkishにぶっ飛ばしたかと思えば“Oh Darling”のRiffが飛び出すOldiesノリも挟んで楽しませてくれる。
何とRhythmboxで始まる“Within Your Reach”はPaul WesterbergのSongwriterとしての高い才能が感じられる。そして鍵盤を含むすべての楽器をWesterbergを演奏しているが、センス抜群だ。中でもギターがカッコ良すぎ。
Buck Hill”は性急なBeatショボいギターが妙に心地良い。叫び声が入るだけのインストスカスカのサウンドなのに、このカッコ良さは何なんだ。
疾走感溢れるRockabilly Punkな“Lovelines”はギターのカッティングRapのようなVocalが素晴らしい。激カッコイイお気に入りのナンバー。
You Louse”もイントロのギターが鳥肌モノの疾走しまくるナンバー。WesterbergのShoutが最高。Punkなんだけど途中に入るギターのフレーズなんかが 'The Matsらしさ。
Hayday”もガンガンぶっ飛ばす暴走Punk
アルバム最後をシメるのはCountry Punkな“Treatment Bound”。懐が深いバンドである。
Color Me Impressed/The Replacements
(Hit-C Fiore)