ArgentinaのFolk DuoといえばCharly GarciaaとNito MestreのSui Generisや社会派のPedro Y Pablo、Alejandro De MicheleとMiguel Angel ErausquinのPastralが思い浮かぶ。Tangoの世界で著名なギタリスト/作曲家を父に持つHéctor AyalaとEduardo Fazioの2人によってBuenos Airesで結成されたVivenciaも中々味わい深いFolk Duoである。 ただ甘いだけではなくMelodyが実に考え抜かれているし、Lyricalで憂いを満ちたVocalと優美で清々しいChorusも素晴らしい。とにかく楽曲のQualityが高いのである。72年にリリースされたデビュー・アルバム『Vida Y Vida De Sebastián』は冒頭から大胆なOrchestrationと燃えたぎるロック・ギターが飛び出してきて一瞬、これは一体どうなるのかと思ってしまうが、間もなく陽だまりの中で穏やかにギターをかき鳴らし歌う二人の歌声にホッとするのであった。続く本作も、アルバムに針を落とすと、部屋の中にいた或る男が外に出かける生活の効果音から始まったりして中々一筋縄でいかないところが面白かったりする。70年代当時、政情不安であった同国ならではのメッセージが込められているのかもしれない。単なるアコギの弾き語りも、その楽曲の良さゆえに素晴らしいのだが、Orchestrationの導入やAcoustic楽器のみならず実に効果的なバンド演奏が作品に色彩感を与えている。
『Mi Cuarto』はVivenciaが73年にリリースしたアルバム。
アルバムは家の中で何かを書いたりマッチを擦る効果音でスタートし、“Mi Cuarto”が始まる。南米らしいGentleでSweetな弾き語りであるが、米国西海岸風の爽やかさも感じさせる。最後は鳩時計の音が聴こえて部屋の外に出る男。すぐに次の曲が始まる。
幻想的な弾き語り“La Mañana Me Reclama”。Chorusもバッチリ、うねるベースも最高、これはグッとくる名曲。ところがイイ気分で聴いていると突然終わってしまうのである。
“La Realidad En La Calle”はEarthyな曲調なのにStringsが入るというのが面白い。ギター・ソロも思い切りアメリカン。
赤ちゃんの泣き声に続いて始まる“El Amor Que Me Faltaba”。これも優美なStringsが入っているが、美しいMelodyの曲調にバッチリである。
“Los Juguetes Y Los Niños”もまた魅力的な旋律を持った名曲。語りかけるようなVocalと透明感に満ちたChorusも素晴らしい。Harmonicaのソロも泣けるっす。
“Natalia Y Juan Simón”は南米らしいMinor Keyながら泣きと甘美な旋律が同居するナンバー。
哀感漂うイントロから泥臭く力強いBoogieに展開する“Poeta De Cartón”。
Arpeggioが心地良く響く軽快な“Pequeño Pasajero”。
2人の息のあったハモりが素晴らしい“Chico, Se Fue Tu Vida”。基本アコギの弾き語りだが、途中でさりげなくOrchestrationが入ったりする。
最後をシメるのは“Un Hombre Sin Moral”。男女混声Chorusもイイ感じで最後まで和気あいあいとしげ実に和みますな。
(Hit-C Fiore)