I'm Gonna Miss You/The Artistics | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 まだHermeto Pascoal e Grupo来日公演の余韻が続いている。あれほど多幸感と愛に満ちたLiveは経験したことがない。その場にいたお客さん全員が演奏者と一体となって渋谷から宇宙へと突き抜けていったのだ。Energyを交換したという言葉をかけてくれたHermetoは、限りなくでっかくて温かい。Hermetoの音響や照明を担当した方々他、スタッフへの感謝の言葉と最後のセットのアンコールで我々に捧げてくれた時が止まったかのような筆舌に尽くしがたい美しさを持った即興ピアノ・ソロで感極まってしまった。あの超絶技巧の弟子たちの複雑で難易度の高いEnsembleを思うがままに操り、やらかしたりボケをカマすのも愛である。高度な技術を駆使した精緻で完璧な演奏をするのは彼らには簡単なことだろう。そこに茶々を入れたり、ヤカンを吹いたり素っ頓狂な叫び声を入れたり、皆でHumorたっぷりに笛を吹いたり色んなものを叩いたりすることで人間らしいHappyでLovelyな音楽が生まれていく。そしてHermetoが声や笛、打楽器と即興にこだわるのは十二平均律や拍子に縛られた西洋音楽の枠組みを壊し、Primitiveな、音楽の根源的なものへと誘おうとしているのがよくわかったのだった。

 60~70年代初頭に登場したR&B Vocal Groupの中でもBrunswickといえば、まず思い浮かぶのは才人Eugene RecordのいたThe Chi-Litesである。そして同様にIllinois州はChicgoの同じ高校に通う生徒たちが結成したというThe Artisticsを忘れてはならない。60年代にMajor LanceのBack Vocalをつとめ、OKeh RecordsCarl Davisの目に留まり、Marvin Gayeとの共作となる“Get My Hands On Some Lovin'”が初のLocal Hitとなった彼らは、“This Heart of Mine ”もヒットさせ、デビュー・アルバム『Get My Hands on Some Lovin'』をリリースするが不発に終わってしまうのである。しかしCarl DavisとともにBrunswickに移籍して、彼らは満を持して本作をリリースする。決して派手ではないが、Tommy GreenLarry JohnsonMarvin Smithという3人の実力派Vocalistを揃え、溌剌として甘さに流されない爽やかなChicago Soulを聴かせてくれる。力強いBaritoneSweetなFalsetto、凛としたSam Cooke譲りの伸びやかなVocal、そしていかにもBrunswickらしいバックの演奏陣も素晴らしい。この確かな演奏技術を持ったバックに支えられて、魅惑のHarmonyと楽曲が引き立つというものだ。68年の次作『The Articulate Artistics』、The Chi-LitesのEugene Recordが関わった69年の『What Happened』も中々気にっているアルバムだ。

 『I'm Gonna Miss You』はThe Artisticsが67年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は溌剌としたYoung Soulが眩しい“Sweeter Than Sugar”。キレの良いギター・カッティングとTommy Greenの
GreenのFalsettoがキマっている“Glad I Met You”。
There Is No Sadness”もMotown風ながらGreenの気っ風の良い歌いっぷりに免じて楽しんでしまおう。
続く“Love Song”もMotown入ってはいるが>”。勢いに満ちたLarry Johnsonの歌いっぷりが良い。
颯爽としたNorthan SoulHope We Have”。男くさいMarvin SmithのVocalが良い。
Marvin Smith必殺のFalsettoが炸裂するヒット曲“I'm Gonna Miss You”。メンバーのJesse Bolian、Marvin SmithとLarry Johnsonの3人の共作。
疾走感に満ちたGirl I Need You”。これもChorusHorn隊の絡みが気持ち良すぎ。
またまたMotownなI'll Always Love You”。
RelaxしたShuffleIt's Gonna Be Alright”ではチョイ甘めのStrongsをバックにのびのびと歌い上げるのが良い。
アルバムで一番のお気に入りは、これぞChicago Soulな“Why, Why, Why”。Larry JohnsonのWildな歌いっぷりがカッコイイ。
ほろ苦く切ないYou're Wonderful”。Larry Johnsonの甘さを抑えたVocalが最高。ChorusとStringsもイイ感じ。
アルバム最後をシメるのはGreenのVocalが男前な高揚感に満ちたOn & On
I'm Gonna Miss You/The Artistics

(Hit-C Fiore)