Sr. Cisne/Mario Garcia | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Santanaの音楽を初めて聴いた時の衝撃は今でも鮮烈に覚えている。あのPercussionの嵐に官能的なギター、遥か昔のAfroな大地に響き渡っていたPrimitiveなLatinのRhythm。これは、やっぱり子供心になんか興奮してしまうものがあったのだ。AfroにRootsがあるLatinのRhythmというのは、どうしてこれほどまでに下半身にクるのであろうか。もう自然に腰が動いてしまうというか、ジッとしていられない衝動にかられてしまうのだ。そういったRhythmに泣きのギターという黄金の組み合わせのLatin Rockは、おそらく世界各国で無数に生まれたことであろう。本日ご紹介する音盤はUruguayMario GarciaというMusicianの作品で、これが何とも心惹かれる猥雑なLatin Rockに仕上がっているのだ。南米らしくリズム隊は、それなりに強力なのであるが、ゴチャゴチャした整理しきれていないというか、ギターの重ね方も含めて、何とも雑然としたラフな感じが、PrimitivePsychedelicな匂いを漂わせている。自分はある種、イタリアのOsannaに共通する官能的で野性的で歪んだ魅力を感じてしまった。このMario Garciaなる人物については詳しいことは何もわからない。ただ、Garciaが創ったこのアルバムはなぜかクセになる魅力を持っている。Percussionの嵐Fuzz Guitarが絡み、Scatが炸裂する奇妙な魅力を持ったこの音盤は、相当なレア盤で、オリジナルはわずか数百枚のプレスだったとか。それが再発されて、ようやく手に入れやすくなったのは本当にめでたいことであった。

 『Sr. Cisne』はMario Garciaが82年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目“Agraça”。せわしないドラムスにPercussionの連打に続いてOrgan、唸りを上げるギター、雄たけびといきなり濃厚な出だしに持っていかれる。途中でアコギScatも飛び出し、ねちっこいギター・ソロと1曲目からお腹いっぱいっす。
続くHardでFunkyなインスト・ナンバーQuando Cair O Super Heroi”もイントロがカッコイイっす。重たいベースに未整理にダビングされたギター、Percussionのガチャガチャした感じが猥雑さを増して素晴らしい。
イナタいドラムスのブレイクに続いて躍動感に満ちたFunky Rockへと展開する“Mergulho No Ar”。南米らしいMellowな歌メロ暑苦しく重ねられたギターとドタバタしたドラムスに痺れる。
スリリングなイントロから哀愁のLatin Rockに展開する“Por Do Sol Em Montevideo”。ギターも泣きまくりですわ。扇情的なPercussionソロも中々下半身にキますな。
タイトル曲“Sr. Cisne”。FunkyなギターのカッティングからPercussionが鳴り響くと、これまた最高に心地良いハチロクFunky Latin Rock。ヤクザなTenor Saxも響き渡り、不穏に蠢く怪しいベース切れ味鋭いFillをキメまくるドラムスも最高。後半にリズムを落としてもドラムスやSlapベースが下半身直撃の技を次々に繰り出してくるのが素晴らしい。エンディングのScatとのキメの合わせ技に言葉も出ない。
Era De Oro”は疾走感に満ちたLatin Rock。緩急自在のリズム隊をバックにギターはこれでもかと泣きまくり
最後をシメるのはScatが幻想的に響くPsychedelicなイントロが印象的な“Pés De Lotus”。これまた途中から泣きのLatin Fusion風な展開になってしまうのはご愛嬌。
(Hit-C Fiore)