Montevideo Blues | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 UruguayにもLos Gatosというグループがあったとは知らなかった。ArgentinaのLitto Nebbiaが在籍したLos Gatosは知っていたが。Montevideo生まれのDinoことGastón Ciarloという、それなりに自国内では知名度の高いSinger/Composerが、60年代に結成していたのがLos Gatosというグループ。Dinoがその後、Los Orthicones、Sound Machineといったバンドを経て結成したのが今回ご紹介するMontevideo Blues。このバンドの“Para Hacer Musica,Para Hacer”という曲を初めて聴いた時に、その奇妙な浮遊感退廃的な雰囲気に思わず心を奪われてしまったのだ。Uruguayのバンド特有の屈折した酩酊感を伴う浮遊感というよりは脱力した、Psychedelicな浮遊感に魅かれた。ジャケットにもそそられるものがあったので何とかレコードを手に入れようとしたが、中々みつけることはできなかった。それでなくてもレアでプレミアがついたUruguayの音盤は手に入れることは不可能に近かった。それが、何と奇跡の再発となり、迷うことなく手に入れて最初の音が出てきた時のこと。まるで昭和に遡った日本の歌謡曲のようなイントロの、イナタいというより、どちらかといえばドン臭いいたってありふれた曲調と演奏で、思わず盤を間違えてしまったかと思ったほどだ。しかもバンド名のようなBluesっぽい曲は殆どない。しかし、落ち着いてアルバム全体を聴いてみれば、やたら目立つPercussion2本のギターの絡みが何とも言えない侘しさを醸し出し、これはこれで面白い音盤なんだろうと思えてくるのであった。

 『Montevideo Blues』はMontevideo Blues72年にリリースした唯一のアルバム。
アルバム1発目は南米らしい哀愁漂うMilonga De Pelo Largo”。何とも垢抜けない普通っぽさの中に何かを見つけようとしたが、この曲に関しては無駄な努力であった。
心地良い浮遊感がたまらない“Para Hacer Musica,Para Hacer”。Eduardo Dittamoのギターが素晴らしい。
これまたEduardo DittamoBarnadaの2本のギターの絡みが素晴らしい“Pongamos Muchas Balas Al Fusil”。力の抜けたDinoのVocalもイイ感じ。全体に漂う退廃した空気が魅力的。
Si Te Vas”は躍動的なLatinのRhythmが心地良い。
切々と訴えかけてくるDinoの歌声が心に響く“Montevideo Blues”。
ハチロクのRhythmで“Hermano Americano”。
PsychedelicなBlues RockSentimiento”。
Percussionが心地良く響くLatin PopsUn Color”。イントロのギターのRiffはカッコイイのだがVocalが入ると普通っぽくなってしまうのが残念。
決して上手いとは言えないDinoのVocalが侘しさを増す“Chamarrita El Chiquero”。
最後をシメるのは、やはり哀愁のMinor Chordで始まる“Hay Veces/Canta Canta Canta”。所謂ひとつの男の哀愁漂うナンバー。Dinoの切ないVocalに鳴り響くPercussionがうらぶれた南米の裏通りの風景を思い浮かばせてくれる。
(Hit-C Fiore)