Ismael Canta... Ismael/Ismael Silva | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 たまらんですなぁ。こういう古き良きSamba。決して上手くない、いや、どちらかといえば素人丸出しの情けな声の素朴なVocal(失礼)が、どうしてこんなに心に沁みまくるのであろう。GoegeousなOrchestra生命感に漲る男女混声Chorus、腰を動かさざるを得ない躍動感に満ちたPercussion、そのド派手なSambaのサウンドに埋もれてしまいそうなか細いVocal、そして素朴なその歌声魅力的な旋律を自信なげに歌い上げながら、極上のSambaを我々に提供してくれるのだ。BrazilのEstácio de Sá地区に誕生した最初のEscola de SambaDeixa Falar〟の創始者であるIsmael Silva。Sambaの作曲家としてSilvaの功績はいくら讃えても湛えすぎることはない。数々のSambaの名曲を書いたSamba創成期の巨匠といってもいい。このアルバムを聴くと、現実を忘れてTime Slipしてしまう自分がいる。官能的な麗しのRainha da Bateria、ElegantなPassista、小粋で伊達なMalandoro、次々と魅惑のSambaチューンを紡ぎ出す才能に満ち溢れたSambista。Sambaが華麗で優雅で粋であった30年代の香りを放つSamba Caliocaの名曲に酔いしれてしまうのだ。ジャケットも実に素晴らしいっす。

 『Ismael Canta... Ismael』はIsmael Silvaが56年に録音したアルバム。
アルバム1曲目“Arrependido”は陽気で元気漲る男女混声Chorusに続いてSilvaが遠慮がちに歌い出すところが最高。ほんの少ししか歌わないが、これが渋いんですわ。
E'bom Evitar”も極上の旋律を歌い上げる男女ChorusにSilvaのか細いVocalがイイ感じ。
これまたイントロのBrass隊が何とも粋なSambaNão Ha”。
NostalgicなイントロにSilvaの「あ~ま~」と歌うマッタリVocal絶妙の寛ぎ感を創り出す“Amar”。
Gorgeousなイントロの“Agradecas a Mim”は派手なサウンドの中に散りばめられた、さりげない泣きのメロディーがたまらんす。
Chorom Sim”は何度聞いても熱いものがこみ上げてしまう高揚感に満ちた大好きなSamba。最高っす。
情けないSilvaの歌声故に沁みわたる哀愁のSambaNão Va Atras de Ninguém”。
Silvaのか細いVocalに続く男女Chorusが、これまた哀感漂う魅惑の旋律を歌い上げる“Com a Vida Que Periste a Deus
Fa”は歯切れの良いBrassやChorus隊とかけ合うSilvaがイイ感じ。
哀感漂うAo Romper da Aurora”も切ないSilvaのVocalが最高ですなぁ。ChorusもHorn隊も雰囲気タップリっす。
Antonico”は泣きの名曲。Silvaは何と胸に染み入る旋律を書くのだろう。
最後をシメるのは、小洒落た旋律陽気に歌うSilvaのヘタウマVocalがカワイイ“Meu Unico Desejp”。
(Hit-C Fiore)