Catalunya(Catalonia)が誇るギタリストToti Soler(本作ではJordi Solerを名乗っている)と鍵盤奏者Jordi Sabatésとを擁したバンドOM。アルバムはたった1枚しか残していないけれど、Miles Davisの『In A Silent Way』以降の電化Jazzに影響を受けた作品としては、発表された時期を考慮すれば中々の力作と考えられる。JazzをベースにしてMinimalなフレーズを軸に即興演奏を繰り広げるが、スリリングでありながら熱く燃え上がるわけではなく、どちらかといえばCoolな印象を受けるのが面白い。メンバーの出入りも激しかったのか、本作では全曲通して参加しているのはギターのJordi Solerのみ。Jordi Sabatésは1曲しか参加していない。ベースのManolo ElíasとドラムスのPeter Hodgkinsonのリズム隊は、当時としては高い技術を持っていたといえる。ちなみにドラムスのPeterは英国人で、何とHenry CowのTim Hodgkinsonの兄弟だそうだ。FlugelhornとSopranino Saxを演奏するJuli Llorensも中々良い演奏をしているが、その後の消息はわからない。ベースのManolo Elíasは『Ocells Del Més Enllà』など鍵盤奏者Jordi SabatésのアルバムやToti Solerのソロ・アルバム、Tete Montoliuの74年作『Boleros』に参加している。Jordi Solerと名乗っていたギターのToti Solerのその後の活躍は目覚ましいものがあり、ソロ・アルバムも名作を多数残している。
『OM』はOMが71年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はToti Solerの流麗なArpeggioで始まる“Excusa 6/8”。タイトル通り6/8拍子で始まり、途中からフォービートに展開する。ギター・ソロに続きJuli LlorensのFlugelhornソロが続く。ひたすらランニングを続けるベースのManolo ElíasにPeter Hodgkinsonの手数多めのドラミングもお見事。
“No Ho Sap Ningú”はRomà EscalesのFluteと Jordi Sabatésのピアノによる神秘的なイントロから始まる。水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』のテーマソングの楽しいな♪楽しいな♪のような旋律を持ったThemeが微笑ましい。Jordi Sabatésのピアノ・ソロも素晴らしい。この曲のみJarkaのメンバーが参加しており、Alfonso De LucasがDouble Bassを弾き、Pedro Van EeckoutがTim Hodgkinsonと一緒にドラムスを叩いている。
Jordi SolerがCelloを弾き、Juli LlorensがFlugelhornやSopranino SaxでFreeな演奏を繰り広げる“Zitro's Ache”。管楽器の多重録音にオルガンが重なりAvant-GardeでExperimentalな音空間が
アルバム最後をシメるのは“Excusa N.° 1”。不穏な響きのArpeggioから、なんとThe Rolling Stonesの“Satisfaction”なChord進行でJazz Rock調になり、フォービートに展開する。ギターでB♭のDrrian Modeでの即興、 Manuel Eliasのベース・ソロ、Peter Hodgkinsonのドラム・ソロ、ギター・ソロと続く。再び“Satisfaction”のChord進行でJuli LlorensのFlugelhornのソロが始まる。
(Hit-C Fiore)