Varios Nombres/Hugo Fattoruso | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Los Shakersに始まりHugo Y OsvaldOpa、そしてBarcarolaUruguayが世界に誇る素晴らしい音楽を創り出すバンドやDuoを率いてきた天才鍵盤奏者/ComposerHugo FattorusoAirto MoreiraMilton NascimentoFlora PurimといったBrazilのMusicianとの共演が70年代から80年代にかけては目立っていたが、80年代中ごろに母国Uruguayで制作された、これは大名盤。Elegantかつ美麗な旋律とAvant-gardeでEccentricな味わいが共存するところが、Finlandの天才鍵盤奏者/ComposerのJukka Gustavsonとも共通性が見出せる作品だ。弟のOsvaldo FattorusoJame RoosBarcarolaでも共演したSinger SongwriterのPippo Speraが参加している。SperaはHugoとProduceも担当している。重ねられたSynthesizerがSpacyで幻想的な音像を描き出し、南米らしい躍動感に満ちたRhythm憂いのある魅力溢れる旋律に心奪われてしまう。そして80年代中頃というと、Acoustic楽器中心でない限り、例えどんな有能なMusicianが作った名作でもSound Productionが時代を感じさせる古くさいものとなってしまうものだが、本作はそれを感じさせないEvergreenな作品に仕上がっている。勿論、当時を思わせる部分がゼロではないが、それすらもMagicalな味わいに変えてしまう作品の魅力がある。何よりもHugoが紡ぎ出すメロディーが摩訶不思議で美しく郷愁を誘い高揚感を生み出す魅力に満ちているのである。音響と音色のセンスが半端ないのである。90年代前半に世に知られることになった所謂、音響系の5年以上先をいっていたのだ。

 『Varios Nombres』はHugo Fattorusoが86年にリリースしたソロ・アルバム。
アルバム1曲目は、いきなり摩訶不思議で魅力あふれる旋律に心奪われる“En Tus Ojos”。生ギターと分厚いSynthesizerをバックにHugoのMelancholicなVocalが素晴らし過ぎる。ドラムの音は加工されたものだが、所謂80年代サウンド的な古臭さをまったく感じさせないのがスゴイ。
Varios Nombres”もそうだがSynthesizerのフレーズやEffectをかけたVocalStrangeな味わいはFinlandのJukka Gustavsonを思わせる。短いながらもピアノ・ソロがカッコイイ。
何とも言葉にすることができないほど美しくMagicalな旋律に惹きこまれる“Marinera Bel”。生ギターにのせて、その魅惑の旋律がこぼれだすイントロからもう天才としか言いようがない才能の煌きを感じる。どうやったら、こんなメロディーが書けるのか。
これまた滅茶苦茶カッコ良すぎるドラムスとピアノに脱帽の“Idea”。HugoとOsvaldoのCombinationは絶品だ。
Hombre Del Planeta Tierra”もうねりまくるSynthesizerとエレピやこぶしのきいた歌メロが、Jukka Gustavsonを思わせる。
No Tiene Nombre”はThe Beatlesを経由した英国的な美麗で捻じれた
ここからはHugoとOsvaldoのFattoruso兄弟によるピアノとドラムスの超絶Duoが3曲続く。まずはHugoのピアノのRiffから始まる“La Papa (A)”、そして“La Papa (B) ”。Hugoのピアノもキレキレだが、Drive感に満ちたOsvaldoのドラミングは圧巻。
最後をシメるのはHugo Fattoruso y Rey Tamborの2009年作『Emotivo』にも収録されていた躍動感に満ち溢れたCandombe TuneCaminando”。Tambores de Cuareimも参加して大盛り上がり大会でアルバムは幕を閉じる。
(Hit-C Fiore)