
Walter Hill監督による80年公開の映画『The Long Riders』の音楽を手がけたのをきっかけにRy Cooderの怒涛の映画音楽作家としての80年代が始まった。『Jazz』を聴いてRyに音楽を依頼したHillの願いがかなったかのような映画音楽として大傑作となった『The Long Riders』。Acoustic楽器の自然な鳴りを生かしてRyらしい砂埃まじりの風に吹かれながらも草と土の香りが漂う音楽が最高としか言いようがなく、Ry自身がチョイ役で顔を見せる映画自体も勿論素晴らしい作品であった。翌年、同監督のSwamp地帯を舞台にした映画『Southern Comfort』の音楽を手掛けたRyは、82年には英国出身のTony Richardson監督によるJack Nicholson主演の映画『The Border』を手掛けるが、これもまた傑作である。Ry Coodeの手がけた映画音楽ではWim Wenders監督でSam Shepardが脚本を書いた『Paris, Texas』が一般的に高い評価を受けているし、実際に映画も音楽も素晴らしいのだが、Ryの手がけた他の映画音楽ももっと評価されても良いと思う。本作はLouis Malle監督の映画『Alamo Bay』の音楽であるが、『The Border』、『Paris, Texas』同様にTexasが舞台となっており、Ryの本領発揮といったところであろうか。個人的にRyのTexas映画音楽3部作と勝手に名付けた作品の中で思い入れが深いのは本作である。なぜなら大好きなLos LobosのDavid HidalgoとCesar Rosasが参加しているからである。またデビュー・アルバムのProduceを担当し音楽性の相違で袂を分かつことになったVan Dyke Parksがピアノで参加しているのも嬉しい。
『Music From The Motion Picture "Alamo Bay" 』はRy Cooderが85年にリリースしたSoundtrack盤。映画の内容は70年代後半のTexasの港町を舞台にベトナム難民と地元の人々の対立をを描いたSeriousな作品である。
アルバムのOpeningはRyのBottleneckが堪らなく美しい“Theme From Alamo Bay”。Asiaを意識したのかSazや琴、尺八が入っていたり、かと思えばViolinやCelloも登場するのが面白い。
RyがWildなVocalを披露する荒々しいRock“Gooks On Main Street”。
Amy MadiganとJohn HiattのDuetによるウットリするようなWaltz“Too Close”。
Ryのギターと尺八が闇の中を徘徊するようなDarkな雰囲気を演出する“Klan Meeting”。と、思ったらRyは沖縄音階を弾き出して摩訶不思議な世界へと連れていかれてしまう。
“Sailfish Evening”はDickinsonのAccordionとRyのギターが奏でる絶品のBallad。
Hiattがギター、Chris Ethridgeがベースで加わり俳優Lee Vingが歌う泥臭いRock“The Last Stand (Alamo Bay)”。
“Quatro Vicios”はお待ちかねDavid HidalgoとCesar RosasがVocalで、これぞTex-Mexといった感じで歌い上げる大好きなナンバー。
尺八と琵琶が幽玄な世界を演出する“Search & Destroy”。
最後を飾るのは“Theme From Alamo Bay”の別Versionとなる“Glory”。これまた美しい仕上がり。
◎Alamo Bay Trailer 1985
(Hit-C Fiore)