
昨年Squeezeがリリースした『Cradle To The Grave』は素晴らしいアルバムであった。自分の2015年の10枚には選ばなかったけれど、いかにも英国らしい魅力に富んだ質の高い楽曲が収録されたアルバムは、自分が選んだ10枚に並ぶ作品であった。Punk以降に英国から登場したバンドの中でもSqueezeはかなりお気に入りである。それはバンドの楽曲の殆どを手掛けるGlenn TilbrookとChris DiffordのSongwritingの素晴らしさに尽きる。この素晴らしいSongwritingコンビは共にギターとVocalを担当し、Glennが作曲、Chrisが作詞を主に手がけている。バンドの核となるこの2人に加えてバンドの歴代の鍵盤奏者にはJools Holland、Paul Carrack、Don Snow、Matt Irving、Andy Metcalfe、Stephen Largeといった個性的な強者が並んでいる。さらにアルバム・デビュー以来、82年の解散、そして再結成して92年に脱退するまでSqueezeを支えたドラマーのGilson Lavis、ベースにはJohn BentleyやKeith Wilkinsonといったこれまた一味違った魅力的なMusicianがリズム隊として参加していたことも大きい。Sueezeは決して派手さや爆発的な人気こそないけれど、玄人好みの楽曲や手堅い演奏や味わい深いVocalで英国音楽の燻し銀的な存在として、幾度かの解散、再結成を経て現在も活動を続けている。本作は『Cool for Cats』とCarrackが参加し名曲“Tempted”を生んだ『East Side Story』に挟まれたために地味な印象を与えているかもしれないが初期の彼らの魅力が詰まったお気に入りの音盤である。それにしてもComposerとして高く評価されているGlennのVocalとギターも、もっと評価されてもいいと思うのだが。
『Argybargy』はSqueezeが79年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はSharpなリズム隊とJools Hollandのピアノ・ソロが冴える“Pulling Mussels (From The Shell)”。
続く“Another Nail In My Heart”もSolidなリズム隊にのってGlennとOctave低音のChrisのDouble Vocalという彼らのTrademarkがお見事。
“Separate Beds”はArpeggioや鍵盤、ベースがSqeezeらしい捻りを生み出している。GlennのVocalも良い。
疾走感に満ちた“Misadventure”。それでもしっかりGlennらしいメロディーが炸裂している。ブリブリかますJohn Bentleyのベースが最高。
Stringsを導入した“I Think I'm Go Go”。彼ららしいストーリー性のある歌詞をバックの凝ったサウンドと演奏が面白い。
スピード感がある“Farfisa Beat”。ギターのRiffはFunkyなんだけどリズム隊が完全にPunk~New Wave以降のEdgeの立ったサウンドになっているのが面白い。
GlennではなくChris DiffordがLead Vocalを担当した“Here Comes That Feeling”。
ロッケンなギターのRiffがご機嫌なこれまた勢いのある“Vicky Verky”。
“If I Didn't Love You”はお得意のGlennとChrisのOctave Vocalが冴えまくる。
鍵盤担当のJools Holland作の“Wrong Side Of The Moon”。イントロのHollandoのピアノのChord Riffや女性Chorusが最高。
最後を飾るのはCheapなOrganにタイトなリズム隊がこの時代っぽい名曲“There At The Top”。Glennの歌い方やメロディーの良さが現れた大好きな曲。
◎Pulling Mussels (From The Shell)/Squeeze
(Hit-C Fiore)