北欧の音楽はJazzにしろ、RockやElectronicaにしても、独特の雰囲気が感じられるものが多くて、いつの間にか惹きこまれてしまう。英米の音楽の影響があるにしても、彼ら独特の素朴で透明感、逞しい生命感に満ちた音楽が好きだ。また、時として垣間みせる普段の朴訥さと相反する洗練やAvant-Gardeな音楽性、どこかCoolでありながら時として熱く燃え上がる高い技術に裏打ちされた躍動感のある演奏は独特の魅力だ。そんなわけで、FinlandやNorway、Sweden Denmarkといった北欧の国々のさまざまな音楽を聴き漁ってきた。氷と炎の国、Icelandもまた、中々興味深い音楽性を持った連中が存在する。Trúbrotは、そんなIcelandが生んだスーパー・グループと言われている。その母体となったのはKeflavikで結成されたGarage、FreakbeatバンドHljómar(Thor's Hammer)。そこにいたギターのGunnar Þórðarson、ベースのRúnar Júlíusson、ドラムスのGunnar Jökull Hákonarsonに、鍵盤奏者のKarl J. Sighvatsson(Karls J.Sighvatssonar)によって結成された。2ndアルバムにはSighvatssonとHákonarsonは参加しておらず、鍵盤奏者のMagnús KjartanssonとドラムスのÓlafur Garðarssonが参加しているが、本作ではSighvatssonとHákonarsonが復帰している。NáttúraやHinn Islenzkiでも活躍するSighvatssonの鍵盤さばきと、JúlíussonとHákonarsonのリズム隊が素晴らしいが、ギターのGunnar Þórðarsonを中心に全員が作曲に参加しており楽曲のレベルも高い。
『Lifun』はTrúbrotが71年にリリースした3rdアルバム。
アルバムは重々しいオルガンとギターで始まる“I. Forleikur (Lives Overture)”で幕を開ける。
“Margföld er lifun, er lifum við ein”は次々と展開し、Jazzyなベース・ランニングやピアノ、Hammond、Hammondなどが短いながら、このバンドの多彩な音楽性の一面をみせる。
清涼感に満ちたアコギと伸びやかなVocal、清々しいChorusが絶品の“Hush-A-Bye”。この素朴な透明感こそ北欧らしいのだが、メロディー、楽曲の完成度の高さも、この時代を考えると英米にまったく負けていない。
“To Be Grateful”は正にThe Beatles直系のメロディーが、シンプルなピアノを主体としたバックにのって沁み渡るBallad。
“School Complex”はHardなギターとHammond、荒々しくShoutするVocalが良い。
透明感のある美しいChorusとHammondが素晴らし過ぎる“Tangerine Girl”は躍動感に満ちたリズム隊も最高の名曲。
これまたHammondが唸る“Am I Really Livin'?”。Percussionも鳴り響く後半はノリノリでタイトなリズム隊も盛り上がる。それにしてもおのリズム隊は素晴らしい。
変拍子にFluteが激カッコイイ“II. Forleikur (Circulation)”。
カッコ良すぎるギターのRiffにShoutするVocalが最高な“What We Believe In”。6拍子でHammondが炸裂し、暴れまくるリズム隊も素晴らしい。
美しいアコギに牧歌的なメロディーをGentleに歌い上げるVocalに夢見心地の“Is There A Hope For Tomorrow”。寄り添うChorusも良し。4拍子から3拍子に展開するところも素晴らしい。
“Just Another Face”はCSN&Yなどアメリカンな雰囲気が漂うノリの良いナンバー。
“Old Man”も魅惑的なメロディーのナンバー。しっとりと歌い上げるVocalが良い。
最後を飾るのは厳かなオルガンで始まる“Death And Finale”。ここでもリズム隊とHammondが最高。
(Hit-C Fiore)