Songs For A Friend/Jon Mark | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Mark-Almondは勿論、ドラムレス時代のJohn Mayallのアルバムでも、Jon Markが作曲に関わった曲の英国情緒漂う甘美な魅力に一度ハマると抜け出せない。勿論、相棒のJohnny AlmondがFluteやSaxで実に奥行きの深い世界を拡げてくれているのも大きいが、Markの楽曲が持つ味わい深さは格別だ。季節の移ろいや自然や街の風景、人間の心の奥底に去来するさまざまな思いを描いた歌詞もまた魅力的だ。Hard-Boiledな味わいを感じさせるものもあれば男の女々しさ情けなさをこれでもかと吐露する歌詞もある。そこが素晴らしい。Jon MarkのWhisper気味のVocalとアコギの爪弾きが、Humorに包んだり、時には生々しく人生の悲喜劇を描き出す時、思わず感情移入してしまう自分がいる。例え、それが惨めな男のどうしようもない人生を歌った曲だったとしても、まるで映画のように目の前に浮かぶ風景の中でJon Markの囁くような語りかけるような声を聴きながら物語の主人公を気取ってしまうのだ。そんなJon MarkがMark-Almondの活動を休止して、London、Paris、Munichや家庭を築いたCaliforniaやでじっくり書き上げた楽曲を集めた1stソロ・アルバムが本盤である。録音は西海岸Ron CarterHal BlaineLarry Knechtal、そして初期Mark-Almondに参加していた盟友Tommy Eyreといった超一流のMusicianとともに制作された。

 『Songs For A Friend』は75年にClumbiaからリリースされたJon Markのソロ・アルバム。Subtitleは 『Bird With a Broken Wing Suite』である。いかにもではあるが、流浪の民であり成功を勝ち取るために苦労したであろうJon Markなら許せるタイトルだろう。
オープニングの“Signal Hill”はTommy Eyreの弾くピアノとKirby JohnsonOrchestrationをバックにしみじみと歌われるナンバー。
ギターのArpeggioと格調高くバックに流れるStringsが美しすぎる“Joey”。語りかけるようなJon MarkのVocalも絶品。
ピアノの調べとJon Markの哀しげなVocalが心をかきむしる“Ballad Of The Careless Man”。女性ChorusとStringsは少々大仰かもしれない。『軽率な男の物語』というタイトル、ほろ苦い歌詞もJon Mark節。
平凡な男のささやかな夢を歌った“Someday I'll Build A Boat”。エレピSteel Drumsがイイ感じ。
別れの曲The Bay”。泣きのBalladではあるが、ベタにはならないギリギリなのがJon Mark。饒舌すぎない、盛り上げすぎない絶妙なEyreのピアノが素晴らしい。
メロドラマ風の“Liars Of Love”。これも泣きであり気持ち大仰なOrchestrationながら淡々と歌い上げる哀愁のJon Markさん。
Alone With My Shadow”も、あまりにもなタイトル。しかしMarkさんのGentleWhisperなVocal、エレピLarry Knechtalエレベ、それだけで極上の気分。
Old People's Homes”も『老人ホーム』という孤独で哀愁漂う人生に疲れた男の物語"最終章"みたいなドすごいタイトル。歌詞の内容も想像の斜め上を行く悲し過ぎる内容に思わず絶句。部屋で女の子とこの曲を聴いてるオサレさんも歌詞の内容知ったらビックリなJon Mark節に乾杯。
最後のシメは“Carousel”。これも人生が終盤にさしかかている人にはズッシリと響きまくる歌詞。OrchestrationをバックにJon Markの語りでアルバムは幕を閉じる。
(Hit-C Fiore)