
Candombeの伝道師としてUrugayが世界に誇る音楽家の一人であるRuben Rada。Urugayの生んだ世界的な才能の持ち主であるHugoとOsvaldoのFattoruso兄弟と出会ったLos Hot Blowersを皮切りに、天才Eduardo Mateoと組んだ伝説のグループEl Kinto、Totem、そしてOpaと、Urugayを代表する名グループを渡り歩いてきたRada。本作は前作同様にArgentinaに滞在していた時期に盟友Osvaldo Fattorusoと組んで制作されたもの。本盤ではOsvaldoがドラムスのみならずProduceを担当、ベースにBeto Satragniを迎えて、これまでのメンバーである鍵盤のRicardo Nole、ギターにRicardo Lewらといった凄腕のメンバーらと本作を80年代半ばに発表する。Los Shakers~Hugo y Osvaldo、そしてOpaでJazzやLatin、Rock、Africanといった要素を巧みに融合しながら天性のリズム・センスを披露したOsvaldoがOpaでも活動を共にしていたRadaと組んだ作品。そう考えると期待は膨らみそうだが時代を考えるとサウンド的には非常に厳しい時期ではある。ジャケットも何だかソレ風で、メンバーの技術は高いだけに、ありがちな80'sふゅーじょん大会にならないかと心配してしまった。だが、流石に音色こそ厳しいし楽曲もギリギリではあるが、なんとかRadaらしさは保たれている。
『La Yapla Mata』はRuben RadaがOrfeoから85年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目は、80年代っぽいUnisonをバックにRadaの語りが始まりPercussionの嵐、そして歌モノに展開する“Flecha Verde”。ベースやエレピやSynthesizerの音色もいかにもな80年代。途中でRhythmが変わったり、キメがあったりしてJazz Rock風に仕上がっている。
続く“El Lavante”も、いかにも80年代風のベースとギターのUnisonにキラキラエレピによるイントロに続いて、これでもかのRomanticにキメこんだRadaのVocalが始まる。楽曲としてはキッチリ作りこんでいて、演奏もQualityが高いから凡百のえーおーあーるとは趣が異なるのは流石。それにしても笑ってしまうほど、ソレ風である。
Percussionをバックにした怪しげなScatとベースのUnisonから始まる“Te Parece”。Outする鍵盤のソロがイイ。
一転して軽快なScatから始まる“Las Manzanas”。Percussionの連打とChorusが盛り上げる躍動感に満ちたナンバー。
続いても高揚感溢れるUnisonによるイントロが印象的な“Tengo un Candombe Para Gardel”。歌に入ると南米らしい哀愁を感じさせるのが面白い。
タイトル曲“La Yapla Mata”は、ゆったりしたBeatに大らかなVocalは、いかにもRadaらしい。
“Madre Salsa”もバックはソレ風なんだけどRadaのゆる~いVocalがPercussionとともに何とも心地良い。
最後を飾るのは幻想的なイントロから始まる“El Negro Chino”。Noleのピアノ・ソロが光る。
ノリノリですな。Osvaldo他、メンバーの演奏能力がアルバムよりも発揮されている気がする。
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◎Tengo un Candombe Para Gardel/Ruben Rada
(Hit-C Fiore)