
世の中には本当に変わった趣味を持っている人がいるものである。自ら進んで一糸まとわぬ生まれたままの姿になっている写真を堂々と公開している男性たちには驚いてしまう。女性ではなく男性の裸など自分はまったく嬉しくないし、また面白くないどころかむしろあまり気分がいいものでもないものだ。自分などは子供の頃から人前で肌を晒すのが苦手であった方なので、そういう趣味がまったくわからない。一体何が楽しいのであろうか?まあ、人それぞれというか、例えば大好きなPrinceのあのアルバムも、ジャケットを見て思わず購買意欲が失せてしまった自分である。美しい女性のヌードならまだしも、あんまりである。内容が素晴らしい出来であったから買う時に結構困ってしまったのを憶えている。さて、本日ご紹介するのは、そんなあまり趣味がいいとは思えないジャケットの作品ではあるが、これまた中身が良いから悩ましいところである。
フランスのJazzピアニストで映画音楽も手がけたJean Claude Pelletierがどういう経緯で、このドFunkyな作品を制作しようとしたかはわからない。ただ、Martial Solalが74年作『Locomotive』、Maurice Vanderが76年作『Chess』でエレピを弾き、Funkyなナンバーを演奏していた時代だ。Horace Silverが70年にリリースした『That Healin' Feelin'』で、エレピを弾き、Vocalやエレベも導入してFunkまで取り込んだJazzの新たな可能性を追求していったように、70年代はJazzの世界にも新しい価値観が生まれる可能性があった。極めて保守的な層、メディアや頭の固い評論家が新しいものを排除しようと容赦ない批判を浴びせ、冷遇されてしまうことになったそれらの作品は、長い間市場からも見向きもされなくなってしまっていたが、Hip Hop以降、DJやMusicianによってようやく正当な評価を与えられるようになったのは素晴らしいことだ。確かに本盤は、それら開拓者の作品に比べれば、ワン・パターンで凡庸だし、創造性や精神性も遥かに及ばないし、個性や才気も感じられないかもれないが、Head Huntersの作品がリリースされたのが73年。渡米して、影響を受けたPelletierがこういう作品を制作したというだけで嬉しいではないか。これはこれで素直に楽しめば良いのである。
『Streaking!』はJean Claude Pelletierが74年にリリースしたアルバム。
オープニングを飾るのは重たいベースにWah-Wahギターが印象的なMidium Funkの“Hello Streakers!”。HammondやClavinett、Horn隊も
高らかにHorn隊が鳴り出すとHammondとベースが躍動する軽快なFunkチューン“Special Streaking”。
やはり重心の低いベースとPercussinがリードする“Dangerous For Your Health”。途中で某スパイ映画のTheme風になるのが微笑ましい。
エレピから始まるダサカッコイイBeatが病みつきになる“No Tax For Streakers”。
こちらはスパイ映画というよりはコメディー・タッチの刑事モノのTheme風の“Nudes And Marines”。Hammondが結構頑張っている。
Wah-WahギターにチャカポコしたPercussionが何となくドタバタ・アクション映画のTheme風の“To Streak With Devil”。
Slideギターがマッタリしたエレピをバックにのんびり間延びした世界を描く“Between The Streakers”。途中で、これまた青春映画のエンディング・テーマ風になっていくのが微笑ましい。
イントロのPercussionから期待が高まる“Hey Doc ! Help...”。ぶっといベースにWah-WahギターとHorn隊は、これまで通りでやや金太郎飴状態だが、Saxソロがあったりして中々聴かせる。
“Streaking Land”も、やはりアクション映画の追跡シーンで使われそうなナンバー。
ドンドコ・ドラムで始まる“Topless On The Trail”。この曲も熱血刑事が登場しそうな曲ではある。こうなると何の工夫もないワン・パターンなのだが、これこそがFunkといえばFunkなのである。
最後をシメるのはオサレなエレピで始まるも束の間、オトボケCar Chaseな展開になる“Streak To Streak”。ヤクザなSaxとダサカッッコイイHornのキメが病みつきになる。
(Hit-C Fiore)