Lowrell/Lowrell | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

$BLACK CHERRY
 The VondellsのSingerだったLowrell Simonを中心にChicagoで結成されたSoul GroupであるThe Lost GenerationBrunswickに多分2枚のアルバムを残している。Innovatio IIに残したシングル“Your Mission (If You Decide to Accept It) Part I”はお気に入りである。残念ながら74年にグループは解散してしまうが、メンバーのLarry BrownleeFred Simonは、The ImpressionsRalph Johnsonが立ち上げたMystiqueに加入する。一方Lowrell SimonはThe Impressionsが音楽を担当した映画『 Three the Hard Way』や先述のMystiqueの素晴らしいCertomからのアルバムでも、その名を見つけられるように裏方として活躍した後、本盤を発表するのである。Lost Generation時代や、その後もWillie HendersonThe Natural Four、Jones Girlsへ楽曲を提供するなどComposerとしても才能があった人物であり、本作での楽曲の完成度の高さは特筆すべきだ。Lowrell名義の本盤の実態はというとSiomnとLost Generationの時からのつき合いとなるGus Redmondの2人によるユニットのようなもののようだ。Samplingネタとして大人気の“Mellow Mellow Right On”をはじめ、楽曲、サウンド、Vocalが実に心地良い作品としてChicago Soulの輝きをアルバム全体に感じさせてくれるところも良い。Discoや打ち込みで形骸化していくBlack Musicが、その本質にある快感原則を生演奏による麻薬的な繰り返しの美学で我々を魅了するギリギリの時代に実は傑作が多く誕生している。そういった70年代末から80年代初頭までに生まれた作品の中でも本作は個人的にかなり気に入っている。SynthesizerもStringsもギターも、Chorus隊もPercussionも、全てが心地良さが最優先だ。そして、それらに負けていないLowrell SimonのSoulfulで艶っぽい歌いっぷりが正にChicago Soulの伝統を伝えてくれているのだ。

 『Lowrell』は79年AVIからリリースされたアルバム。ProduceThe Chi-Litesから独立したEugene Recordに、Tom Tom 84SalsoulBruce Hawes。このChicago Soul人脈ガッツリ、強いてはChi-Lites人脈、というよりEugene Recordつながりが、本盤をより一貫したサウンドに仕上げている。ベースのNorwood Gray Jr.、ギターのClifford Conley、ドラムスの Dennis Howell、鍵盤とTrumpetのRonald ScottはChi-Litesの76年作『Happy Being Lonely
』やEugene Recordの79年のソロ・アルバム『Welcome To My Fantasy』でも名前を見つけることとができる。
アルバム1発目は煌びやかなDiscoチューン“Lost Generation”。華やかなStringsに女性Chorus、この時代らしいギターのシングル・ノートでのRiff、Discoなベース・ライン。Redmondの作品。
続いてもStringsが目立つもClavinet黒っぽさを強調する“You're Playing Dirty”。カッテイングも激カッコイイけれど、泣きのギターも飛び出す哀愁のDancer。Percussionの響きやリズム隊が最高に心地良い。
Percussionとワウ・ギターのイントロから惹き込まれる“Overdose”。Chorus隊、Bottomでうねるベース、ギターのカッティングが官能的に絡み合う。緊張感漂うStringsとHorn隊も良し。
印象的なSynthe BassにギターのOctave奏法が何ともいえない快感を巻き起こす“Mellow Mellow Right On”。めくるめくエレピHorn隊、華麗なStringsなど上モノがイナタくもしっかりバスドラ4つ打ちのリズム隊にのっかり夢想の空間を作り上げている。
インストでの“Mellow Mellow Right On (Instrumental) ”を聴くとエレピやChorus隊、Strings、Horn隊が一体となって心地良いサウンドで包み込んでいくのが良くわかる。
最後はTempoを落とした“Smooth And Wild”。ここでもLowrellのVocalが輝きを放つ。低音の魅力からFalsettoまで変幻自在の歌いっぷりは流石。
(Hit-C Fiore)