
以前、確定申告した時に丁寧に対応してくれた女性は魅力的だった。外見はともかく、落ち着いた物腰、そして何より冷静沈着にテキパキと仕事をし、こちらへの心遣いを忘れない彼女に見惚れてしまった。そこには、思わず食事に誘おうとして自制した自分がいた。金融機関の自分の担当の女性やショップや近所の定食屋さんの女性にしても、自分のために色々と面倒くさい事まで一生懸命してくれる女性を見ていると、只でさえ惚れっぽく自意識過剰の自分は勘違いしてしまいそうである。仕事ができるとか、できないという言葉は大嫌いだが、一生懸命に仕事をしている女性を見ているのは好きである。
このジャケットは雰囲気があって本当に大好きである。Fleetwood Macでの鍵盤奏者、SingerそしてSongwriterとしての活躍で、Christine McVieとして知られる彼女のソロ・アルバム。全米のみならず世界各国で成功を収めたMacの表看板は、妖艶な魅力を持つStevie Nicksと個性的な指弾きギタリストLindsey Buckinghamの2人の米国人である。後から加入した2人はVocal、そしてSongwriterとしても有能であるけれど、英国で結成されたFleetwood Macのオリジナル・メンバーであるドラムスのMick FleetwoodとMickとThe Bluesbreakersで一緒だったJohn McVieの堅実なRhythm Sectionにのって、Christine McVieの楽曲とVocalが生み出す落ち着いた安心感に満ちた魅力は格別なものがある。決して派手ではないけれど、適度にCatchyで、適度にSpiceの効いた彼女の楽曲とVocalが、Stevie NicksとLindsey Buckinghamと絶妙のバランスをとりながらグループをひき立てている。ChristineもMacに途中参加したメンバーだが、NicksとBuckingham加入前にあっても、バンドでそういう役割を演じてきた。看板ギタリストPeter Green脱退後に参加した彼女はJeremy SpencerやDanny Kirwan、Bob Welchといった才能に満ちたギタリスト兼Singer、Songwriterたちと楽曲やVocalを分け合ってバンドを支えてきたのだ。個性的な才能の持ち主との間でいわば緩衝材のように、彼女は自分の魅力をさりげなく発揮してきた。そのVocalや鍵盤や楽曲は実はMacにあってなくてはならない存在であり、彼女の仕事ぶりがあってこそ、Fleetwood Macは輝くのである。
『Christine Perfect』はChristine Perfectが70年にリリースした1stソロ・アルバム。MacやSavoy Brrownと並ぶ英国3大Blues Rock BandであるChicken Shackの鍵盤奏者、Singerとして世に出たChristineの人気を当てにして、バンド脱退後に制作された作品。ちなみに彼女は同年にFleetwood Macに正式加入している。当時の夫でもあるJohn McVieやDanny KirwanといったMacの仲間も参加している。後の作風より黒人音楽への彼女なりのアプローチが強く出ていることやジャケットも含めて英国の香りが感じられるところが良い。後に繋がるPopな味わいも垣間見れるのが興味深い。
アルバム1発目はLittle Walterの“Crazy Bout You Baby”。軽快なエレピとHorn隊が彼女の落ち着いた歌唱とマッチしている。
Don Robey (Deadric Malone)作のSlow Ballad“I'm on My Way”。
ギターのRiffと絡み合うワウ・ギターが最高なChristine自作の“Let Me Go (Leave Me Alone)”。BluesyなChritineのVocalも良し。
続いても自作の“Wait and See”。Trad風味も感じさせるマイナーのBalld。彼女なりに黒っぽく歌おうと頑張ってはいるが少々物足りない出来。
“Close to Me”もBluesyな哀感に満ちたナンバー。
Etta Jamesの名唱で知られる“I'd Rather Go Blind”。この曲は彼女がChicken Shack時代に取り上げてヒットさせている。
Danny Kirwan作の“When You Say”。彼らしい英国情緒を感じさせる楽曲。Stringsをバックに淡々と歌うChritineのCoolなVocalがイイ感じ。Kirwanの甘いギターとStringsのアレンジがやり過ぎながら、中々面白い。
リズム隊にのって淡々と歌うChristineのVocalとエレピが心地良い“And That's Saving a Lot”。
Choristine作が2曲続く。マイナーな曲調にPopな味わいも感じさせる“No Road Is the Right Road”とノリノリの“For You”。どちらも英国調のBlues Rock。
Bobby "Blue" Blandで知られる“I'm Too Far Gone (To Turn Around)”。バックの演奏も彼女のVocalも渋い。
最後はTony Joe Whiteの“I Want You”。LazyなギターとChristineのオルガンがイイ感じ。
(Hit-C Fiore)