The Cool Voice of Rita Reyes No. 2/Rita Reyes | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 女性の横顔に魅せられる。いい年こいて、時々凛とした女性の横顔に夢中になる。大抵、彼女がテキパキと仕事をしている時だ。無造作に髪を束ねてあったりするとイチコロだ。仕事でも家事でも働く女性は強くて美しい。そのCool凛とした歌いっぷりがお気に入りの女性Singer、Rita Reys。今回ご紹介するのは、ジャケ買いであった事を告白しなければならないが、勿論、中身も素晴らしい音盤である。Jazzの女性Vocalものは、個人的に甘口のものや濃い口のものは基本的に苦手で、手がのびるのは、どうしてもCoolな、そしてSpontaneousな歌い方のSingerの作品である。〝Europe's First Lady Of Jazz〟と呼ばれるオランダ出身のRita Reysは、両親の影響で幼い頃からChopinやTchaikovskyを聴いて育ったが、十代でJazz歌手の道を歩み始めると、めきめきと頭角をあらわしていったそうだ。彼女の才能を見抜き、Jazzの世界に誘い込んだのは、後にRitaと結婚するJazz DrummerのWessel Ilcken。Ritaの魅力の一つに白人離れしたリズム感覚がある。フレージングはFakeを多用するよりは、キレの良さと絶妙のタメのきかせ方でRhythmに抑揚をつけてSwingする感じ。だからCoolにして洗練された味わいは、いわゆる華やかなジャケットで中古レコード屋さんのJazzコーナーで一際目を引く白人美人歌手たちの歌唱とは一線を画す。RitaとIlckenはSextetを組んで欧州各国をツアーで回り、高い評価を得る事になる。さらにRitaは56年にはNew Yorkに渡り、Hrace Silverが在籍していた当時のArt Blakey & The Jazz Messengersと共演している。

 『The Cool Voice of Rita Reyes Vol.2』はRita Reysが58年に録音したアルバム。アルバムは Tom Dissevelt Jan Corduwenerの2人がArrangeを担当し、それぞれがOrchestraを率いている。
アルバム1曲目は軽快に“Old Devil Moon”でスタート。Ritaの抜群のリズム感に思わず顔がほころんでしまうオープナーに相応しいナンバー。
続いて、しっとりと歌い上げるStar Eyes”。
アップテンポの“The Song Is You”ではキレの良いRitaのVocalが心地良くSwingするご機嫌なナンバー。
Balladの“Keepin' Myself for You”。甘過ぎず、実にドライな感じさえ抱いてしまうVocalが、逆に色気を感じさせる。
小躍りしたくなるようなOrchestraをバックにした“Falling in Love with Love”はRitaのリズム感覚の良さが出たナンバー。
今度はメランコリックに歌う“Spring Can Really Hang You Up the Most”。
He's My Guy”はSwingyに、なめらかに歌うRitaがなんとも魅力的だ。
ここからBallad連発で、まず“There Is No Greater Love”ではRitaのタメをきかせながら決してくどくならない歌い方が良い。
Please be Kind”のような甘口の曲でもHuskyな歌声でしっとり歌われるとベタっとせずに後味が良い。
Where Are You? ”もOrchestraをバックに歌うRitaの大人の女性の魅力にまいってしまう。
They Didn't Believe Me”は大好きなナンバー。Balladながら、サラッと小粋に歌うReyesが良い。気丈な女性がふと見せる女性らしい表情もまた良し。
最後もBalladだけど、こちらは可憐に歌い上げる“Only A Moment Ago”。
(Hit-C Fiore)