
伝説の人の初来日公演。2年前、体調不良により中止になっていただけに、今回は本当に来てくれるか心配だったけれど、そんな不安を吹き飛ばす飄々とした84歳に心を撃ちぬかれた。シンプルなトリオ編成で、曲のたびにメンバーにタイトルではなくて数字を伝えるMose。その時の気分で演奏する曲を決めているようだ。力の抜けた、無駄なものをすべて削ぎ落とした、ある意味淡々としたステージ。Mod達に愛された名曲をMoseが、目の前で歌ってくれるなんて何て最高なんだろう。ベースのPhil SparkもドラムスのPete Magadiniも結構なお年であるが、それぞれのソロでは中々のテクニシャンぶりを発揮していた。そしてCoolにひたすら歌い、ピアノを弾くMose。BluesもBebopもアメリカのFolk Musicも、この偉大なる爺はジャンルの壁をいとも簡単に乗り越えて孤高の世界を創りあげている。独特の歌詞も素晴らしい。それにしても和みますなあ。1stと2ndステージで2曲以外はダブらないというのもスゴイ。日曜日の最終公演も行っちゃおうかな?
『Middle Class White Boy』に収録されているタイトル曲。今回の公演では残念ながら演奏されなかったけれど、自分が始めて買ったMoseのアルバムである本盤にも収録されている“I Don't Want Much”や“Hello There,Universe”、“Rollin' Stone”を生で聴けたのは嬉しかった。
◎Middle Class White Boy/Mose Allison
(Hit-C Fiore)