
このところ、立て続けに肉三昧である。ま、これも付き合いのうちなのだが、あれだけ好きだった肉を食べなくなって野菜や魚中心の食生活が続いていたところ。久しぶりに、ガッツリ肉を食すのも悪くないもんだ。元々好きだっただけに、ある程度制限しないと、どうしても歯止めがきかなくなってしまうのだが。一時あれだけ好きだったFender RhodesのElectric PianoやHammond OrganやClavinetを、弾くのも聴くのも一切断っていたことがあった。それらの音が嫌いになったわけでは決してなくて、しばらくはシンプルなアコースティック・ピアノの響きとタッチだけで自分を純化させたいと思っていたのである。少しの間だと思っていたのだが、思っていたよりそういう時期が続き、基本的に今でも気分としては、そういう感じが続いているのだが、一時ほど頑なに拒否するでもなく現在は必要に応じて対処している。それでも何の制約もなかったり、自分が1人でいるときはアコピと戯れることに専念するのである。それは音の響きに関しても似たようなところがあって、複雑な和音やGorgeousな音の響き、またはヒネリまくったChord進行や凝りまくったメロディよりも、シンプルなTriadや単音の響きに没頭していた時期が続いたのだった。
さて、Argentinaから世界に羽ばたいた鍵盤奏者Jorge Dalto。Fender RhodesやClavinet、ARP String Ensemble、Minimoogが登場する本盤は、Jorgeの感性やセンスが最良の形で表現された“I've Got You On My Mind”という大好きなナンバーが収録されている。南米らしいRomanticな、そして生命感に満ちたJoregeのプレイは興味深い。Joregeといえば、個人的にはDizzy Gillespie Y Machitoの『Afro-Cuban Jazz Moods』でのエレピである。また、George Bensonの『Breezin'』や『Weekend In L.A.』では、鍵盤奏者Ronnie FosterとともにBensonをサポートして知名度を上げた。Paquito D' Riveraの“Waltz For Moe”やAirto Moreiraの“Samba de Flora”を聴けば、アコピだけでも、その情熱的なプレイとテクニックは圧倒的であったことがわかる。
『Chevere』は76年にリリースされたJorge Daltoのリーダー作。ドラムスにBernard Purdie、ベースはJerry Jemmottが変名で参加。Salsaの大物歌手Ruben Bladesも参加しているのが興味深い。同郷のGato Barbieriや上述のMachito、Tito PuenteらNYのLatin音楽人脈と共演し、Bensonのサポートで、一気にその名を高めた。本作でも、そういったキャリアが生かされている。アルバム8曲中5曲が自作曲。
スタンダードの“Stella By Starlight”はエレピとやClavinet、Minimoog、アコピと各種鍵盤を贅沢に使いまくりのナンバー。PercussionとPurdieの作りだすLatinノリのビートがこの時代らしいタイトでBPMのわりに音数を多くしているのが興味深い。
揺らめくエレピとJoregeの愛妻Adelaを軸にしたChorus(男性ChorusはRuben Blades!とJorge自身か?)が心地良い“I've Got You On My Mind”。バックでSpacyな効果をあげているARPも最高。
“For Orpners”はタイトル通り、溌剌としたナンバー。キレの良いHorn隊も良し。
エレピとAdelaのScatがShuffleにのって心地良さ倍増の“Dolphin Dance”。
“Time For Some Changes”もAdelaがScatが大活躍。サビの歌謡調も面白い。後半にいくに従いノリノリでFluteソロもカッコイイ。
“I Only Care For You”もSpacyなARPとエレピが極上。AdelaのVocalもイイ感じ。
疾走するリズム隊にアコピとMinimoog、エレピで絡む“Theme In Berlin”。ARPの響きが下手するとありがちなFusionに陥る寸前のところでギリギリの演出をしている。
最後はFunkyなLatin風味でBernard Purdyのドラムが活躍する“Love For Sale”。Horn隊とCongaを中心としたPercussionも気持ち良い。
(Hit-C Fiore)