Unearthed/The Undertakers | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 日本ではAppleからのソロ・デビュー作がコケた印象からか必要以上に過小評価されているJackie Lomax。Lomaxといえば、個人的にはAllen ToussaintのProduceしたBadgerの『White Ladyや、ソロ・アルバム『Home Is In My Head』や『Three』である。この3枚のアルバムにには大好きなギタリストBryn Haworthが参加してご機嫌なプレイを聴かせている。そのLomaxがそのキャリアの最初期である60年代に在籍していたThe Undertakersというバンドがある。『Doin' the Mod』というSanctuaryからModな音のBritish Beat Groupを集めたCompilation盤シリーズがあり、そこでThe Undertakersの名前を見つけた時は驚いた。彼らを典型的なMerseybeatのグループだと思っていたからである。このシリーズは本当にお気に入りで、B級バンドでもなんでもModな音が並べられた、その曲順も非常に考えられたものである。ホントこういうCompi盤は手放せないのである。さて、その『Doin' The Mod Vol.5 Tht Driving Beat』に、TimeboxThe Alan Bown Setに混じってなぜThe Undertakers(正式にはThe Takers名義であるが)の名前があるのか? 63年にPyeと契約した彼らは、どちらかといえばMerseybeatとしてとらえられているが、The ImpressionsThe Isley BrothersSolomon BerkeをレパートリーとしていただけあってR&B色の強いバンドだった。特にSax奏者やクセがある荒削りではあるが、LomaxのハイトーンのVocalが他のMerseybeatのグループにはない黒い魅力を感じさせる。正直LomaxのVocalは、彼の素晴らしい70年代の作品に比べれば線も細く、黒っぽさもお話にならないが、懸命にSoulfulに歌おうとする姿勢は初々しくて微笑ましい。彼らの未発表曲音源も含めた本盤には、確かにModな香りを残すナンバーも収録されていて、中々お気に入りである。むしろシングルよりも未発表曲にModなナンバーが多いのも面白い。後にLomaxが在籍していたLomax AllianceHeavy Jellyといった音源も合わせて聴きながら、個性的なBlue-Eyed SoulのSinger、そして優れたSongwriterでありながら不当な評価を受けているRomaxを残念に思ってしまう。

 『Unearthed』はThe UndertakersPyeからリリースされたシングル両面と、The 'Takers名義での音源や未発表曲を収録したCompilation盤
デビュー・シングルのB面“(Do the) Mashed Potatoes”はJames BrownのバンドThe Famous FlamesNat Kendrick and the Swans名義で出したご機嫌なナンバー。
そのA面曲“Everybody Loves A Lover”は、Saxがアクセントをつけながらも、いかにもMerseybeat然としたナンバー。
定番曲の“Money (That's What I Want)”は2ndシングルのB面。
そのA面はThe Coastersで知られるJerry LeiberMike StollerのSongwriterチームの“What About Us”。ChorusとSaxソロも中々キマッている。
3rdシングルSaxのRiffがカッコイイ“Just A Little Bit”。
B面はSolomon Burkeの“Stupidity”。
The 'Takers名義の“If You Don't Come Back”。この曲もElvis Presleyの歌で知られるJerry LeibeとMike Stollerの作品。
そのB面曲の“Think”はThe "5" Royalesのナンバーでご存知James Brown & The Famous Flamesが大ヒットさせたナンバー。
Larry WilliamsStonesでも知られる“She Said Yeah”。
Don Gardner & Dee Dee Fordの“I Need Your Lovin”。
James Brownの“Tell Me What You're Gonna Do
The Searchersでも知られる、これまたLeiberとStoller作の“Tricky Dicky”。
Bobby Darinの“Irresistible you”も黒っぽく迫ってイイ感じ。
African-Americanの女性ChorusグループThe Shirellesの“Love Is A Swingin' Thing”もSoulfulだ。
The BeatlesもCoverしたLittle Richardの“Hey-Hey-Hey-Hey!”もヤクザなSaxが良し。Bluesyな彼ら本来の魅力が出ている。
ブリブリ鳴らすSaxをバックにご機嫌に突っ走るThe Miraclesの“You're So Fine And Sweet”。
Littele Willie Johnで知られるThe BeatlesもCoverしていた“Leave My Kitten Alone”もノリノリのナンバー。
定番“Watch Your Step”は勢いのあるSaxと弾けるBeatが心地良い。
渡米してBlack WatchからリリースされたシングルB面はLomaxの自作曲“Throw Your Love Away Girl”。
そのA面はBill Harryの“I Fell In Love (For The Very First Time) ”。
◎現在も活動を続けるJackie LomaxのOfficial Website→www.jackielomax.com/
I Fell In Love (For The Very First Time)/The Undertakers


(Hit-C Fiore)