Gonna Take A Miracle/Laura Nyro and Labelle  | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 これは反則といえば反則。でも、これほど好きなアルバムには、そうはお目にかかれない。Laura Nyroの初期の作品は大好きだが、このアルバムは特別だ。全曲R&BCoverPhiladelphia Soulの大御所Kenny Gamble & Leon HuffProduce。そして演奏陣は後にMFSBへ発展していくSigma Sound Studiosに集結した人種も性別も超越した腕利きたち。Chorus隊はLauraと親しい仲のPatti LaBelle率いるLaBelleを引っ張り込んだ。そしてLauraがピアノを弾きながら歌う。これは一発録りかという、生命感に満ちた音。すべてが最高。もうBlackだとかWhiteとか関係なし。これほど溢れんばかりのR&Bへの想いに満ちた作品はない。そして歌うことへの歓びがストレートに心に響いてくる作品はない。Soulとしか言いようがない魂を揺るがす声の魅力。Laura Nyroは類まれなる才能を持ったSongwriterである。しかし、この作品でのLauraのVocalを聴けば、彼女のVocalistとしての圧倒的な魅力にノックアウトされてしまう。まるで人種の坩堝Bronxで過ごした少女時代に戻ったかのように、自らの音楽のルーツであるDoo-Wop, SoulGospelを生き生きと歌い上げるLaura。そして彼女に寄り添う仲間達が一体となって作り上げる音空間。聴いている者は、当時のBronxの街角にタイム・スリップさせられてしまうのだ。だから、そこにあるのは単なる企画モノなどではない自らの原点を明らかにした生々しい音楽。何よりSoulを感じざるを得ない声の魅力に、躍動感あふれる演奏は、人種や性別を超えた結束の元で奇跡のような瞬間をもたらす。都会の闇に舞い降りるその魂の歌声は永遠に心の中に木霊している。


 『Gonna Take A Miracle』は71年11月にリリースされた。

アルバムの名義はLaura Nyro and Labelleとなっている通りLauraは友人のPatti Labelleに声をかけ、彼女とNona HendryxSarah Dashから成るLabelleと共にアルバムを作り上げた。Labelleは、その当時、表舞台からは姿を消していたが、彼女達のホームであるPhilladelphiaでのレコーディングは、4人の女性たちに魔法のように作用したようだ。

ClappingA Cappellaで始まる1曲目の“I Met Him On A Sundy”で鳥肌が立つ。

魂が揺れ動く声と言っても決して大げさではないOriginalsの“The Bells”はMarvin Gayeも作曲者に名を連ねている。Marvinは当時、Originalsのこの曲のProducerとしても関わっていたのだ。

Monkey Time/Dancing in the Street”での高揚感。LauraはCurtis Mayfieldが大好きなんだろうな。そういえばTodd RundgrenもCurtisの大ファンだし、大好きな2人のMusicianの、そんな共通点に、こちらも嬉しくなる。

Vibraphneの響きが神々しいまでの美しさを演出する“Desiree”は極上のStreet Corner Symphony

Miraclesの“You've Really Got A Hold On Me”は、子供時代に戻ったかのように本当に楽しそうに歌う彼女達。演奏も実に心地良い。

The Wind”の透明感に満ちたLauraの歌声に酔いしれる。時に官能的に、時に神々しいまでの清らかさを持つLauraの声の魅力に感服。

Teddy Randazzoが手がけたThe Royalettesの“It's Gonna Take a Miracle”は、いつまでも、この歌声が、奇跡のような時間が続いていて欲しいと思ってしまう。

全曲最高。文句なし。名盤中の名盤。実は、このアルバムは何回も聴いていない。Lauraの他のアルバムに比べても、聴く回数は少ない。とっておきの時に聴きたいのだ。この音楽をいつも新鮮な状態で浴びるように聴きたいから。その位、自分にとって大切な作品

(Hit-C Fiore)