まったく、この銀髪の強面のBluesオヤジについては音楽よりも、そのヤンチャな経歴やら数々の伝説が多く語られてすぎているのかもしれない。が、間違いなくアメリカの音楽を語る時に無視することはできない人物だ。Lead Bellyの演奏する音楽をBluesやFolkだとか、それこそジャンルに縛る事は意味のないことかもしれない。正に、アメリカに古くから伝わる、ありとあらゆる音楽を唄い演奏する「アメリカのルーツ・ミュージックの父」とも謳われる人なのだ。Lead Bellyの唄うWorkSongやGospelやPrison SongやChildren's Songの数々、そこにBluesを感じることができるかどうかは、聴いた人間が判断すれば良いことだ。Lead Bellyの低音をきかせリズミカルな12弦ギターやざらついたVocalを聴いた時に、20世紀前半のアメリカ南部へTripさせられてしまう自分がいる。歌詞の内容が、どれだけ辛く滅入るような内容であったとしても、そこには過酷な中にも生きる気力を失わずに生活を続ける逞しい人々がみえてくる。それはLead Bellyの歌や演奏が、どちらかといえば、重苦しく暗いというより、力強い陽のパワーを持っているからだ。だてに何度もムショでくさいメシを食ってきただけじゃないのだ。このアメリカ音楽人間Juke BoxみたいなBlues爺は血の気が多かったらしく3回ほど投獄されたのだが、芸が身を助けてくれて特赦を受けたりするのだ。シャバにお出ましになってからの爺は心を入れ替えたのか真摯に音楽活動を続けるのである。驚くべき事にLead Bellyはギターだけでなくアコーディオンやピアノも弾きこなし、アレンジもするマルチなMusicianだ。さらには自ら作詞作曲して歌う、いわばS.S.W.の先駆けのような人でもあるのだ。そんな彼の作品は多くのMusicianにCoverされている。例えばThe Beach Boysの『20/20』に収録されている“Cotton Fields (The Cotton Song)”やRy CooderやVan Morrisonもやっている“Good Night, Irene”。Nirvanaも“Where Did You Sleep Last Night”をCoverしている。
○関連記事→Ram Jam
『Lead Belly Sings For Children』は自分が持っているのはCDであり、元々は『Negro Folk Songs for Young People』というアルバム全曲と、アルバム『Play Parties in Song and Dance as Sung』全6曲中5曲に、未発表曲教曲を収録したものである。子供たちのために開催したライブ録音の『Negro Folk Songs for Young People』というアルバムはイカツイLead Bellyと子供たちの微笑ましい共演もあり、なんとも和んでしまうけれど、この人が語り部としてスゴイところは相手が誰であろうと、その心をガッツリつかむ魅力ある歌であり演奏だ。
軽快に歌う“Christmas Is A-Coming”や子供たちの歌声と共演する“Swing Low, Sweet Chariot”と“We're In The Same Boat, Brother”などを聴いていると、Lead Bellyの魅力である陽性の魅力が伝わってくる。
力強くSwingする“Red Bird”やノリノリの“Good Morning Blues”も素晴らしい。
ギターのリフがカッコイイ“You Can't Lose Me, Cholly”も大好きなナンバー。
そしてCCRでもお馴染み“Midnight Special”、これまた最高。
○たまらないね、この鄙びた感じが→Take This Hammer/Leadbelly
(Hit-C Fiore)