An Anthology/Duane Allman | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 大好きなDuaneのギターを浴びるほど聴いていたい日に。このレコードは中古で手に入れたものだけど、中の豪華パンフレット(とレコードの帯に書いてある)を含めて手放せない。車の中で聴くためにCDも買ってしまったくらい。世の中に沢山ある編集盤の中でも、この2枚組のレコードほど愛情のある作りをしたものはないだろう。Duaneが釣りをしているSwampなジャケットも大好きだ。この音盤にはABB結成以前のDuaneのスタジオ・ミュージシャン時代の音源やEric ClaptonとのDerek And The Dominosの音源も入っている。客演したCapricornレーベルの兄弟分Cowboyとの音源も嬉しい。そしてLPでいうとD面にはABBでの演奏が収録されている。ABBは実をいえば、年中聴きまくっている。が、こうしてDuaneの名演を集めた作品集で、ギターを中心に聴いていると彼のプレイが今でも多くの人々に愛されている理由がよくわかる。そしてABBでの活動以外でのDuaneの残してきた音楽から、それこそジャンルの垣根を超越したDuaneのギター弾きとしての表現力の豊かさや懐の深さを感じ取ることができる。それにしても、Muscle Shoalsでスタジオ・ミュージシャンとして過ごしてきた日々がDuaneにとってもABBにとってもいかに大きかったかもわかる。 Wilson PickettAretha Franklinといった大物のバックで演奏したことが芳醇な味わいをもった果実となってABBで実を結ぶのだ。Duaneの約6年間という短いキャリアの中で残された音源は大切に聴いていきたい。Duaneのステージ以外での写真を見てみると様々な場所でギターの練習をしている写真が結構ある。本当ににギターが好きで好きでたまらないという感じで微笑ましい。そしてDuaneの人柄が伝わってくるんですな、これが。


 『An Anthology』は72年CapricornからリリースされたDuane Allmanの名演を集めたAnthology。

まずはDuaneとGreggのAllman兄弟のABB結成以前のグループThe Hourglassとしての幻の作品“B.B. King Medley : Sweet Little Angel / It's My Own Fault / How Blue Can You Get ”。The Allman Joysを経てThe Hourglassとしてアルバム・デビューした兄弟だが、2枚の正式アルバムを発表後、Muscle Shoalsに赴く。そこのFameスタジオで3枚目のアルバム用として録音した音源がこれ。68年の録音。

Wilson Pickettの“Hey Jude”ではSlideこそないもののDuaneの強烈なソロがスケールの大きい世界を作り出している。

Clalence Carterの“The Road Of Love”での泥臭いSlideとバッキングが激渋。

DuaneがVocalをとる“Goin' Down Slow”。DuaneのVocalは本人が言うほど悪くないし、個人的には味があって好きである。

Aretha Franklinの“The Weight”は完璧。冒頭のSlideからゾクゾクするし、そこにArethaのSoulfulなVocalとChorusのCall&Response、小気味良くランニングするベースとタメのきいたドラム、キレの良いHorn隊、もう気持ち良くて最高でしょ、これは。

Boz Scaggsの“Somebody Loan Me a Dime”での鬼気迫る熱演はDuaneはSlideなしでも、聴いてるものの心を掴むEmotionalなギターを弾けることを証明している。

Berry OakleyJaimoeButch TrucksといったABBの仲間達と参加したのはOtis Reddingとバンドを組んでいたギタリストJohnny Jenkinsの70年作のソロ・アルバム『Ton Ton Macoute』。ここからは2曲選ばれている。Muddy Watersの“Rollin' Stone”とBob Dylanの“Down Along The Cove” 。これが結構気に入っている。

そして大好きなCowboyの心温まる名曲“Please Be With Me”でのSlide。これはたまらない。

最後は“Little Martha”でDicky BettsとのアコースティックなDuoで美しくシメるのも素晴らしい。

(Hit-C Fiore)