Keep Me Comin'/Jesse Ed Davis | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


  Jesse Ed DavisLeslie Speakerを通した独特の引き摺るようなSlide Guitarが無性に聴きたくなる時がある。そして、最初は取っつきにくいかもしれないが投げやりとも思えるDull気怠いVocalも実にDeepな味わいである。最初にJesseの名前を気にするようになったのは大好きなBen SidranTaj Mahalのアルバムであった。Oklahoma生まれのNative Americanで、両親の影響でピアノやギターを弾き始めたJesseは早くからJazzやBluesを聴いて慣れ親しんでいたらしい。同郷の友人だったLeon Russellに誘われてCaliforniaに移住して、LeonやLevon Helmらとバンドを組んで活動していたという。そしてRy CooderとRising Sonsというバンドを組んでいたTaj Mahalと出会って、Tajのバンドに加入するのだ。その雄姿は『The Rolling Stones Rock and Roll Circus』で観ることができる。またJesseの姿はGeorge Harrisonの『The Concert for Bangladesh』でも少しだけ確認することができる。Jesseのソロ・アルバムは全部で3枚公式リリースされており、Atcoからの『Jesse Davis』、『Ululu』はSwamp色が濃厚な文句なしの名盤だ。そして本日ご紹介する通算3作目となるEpic移籍第一弾、しかし最後のソロ・アルバムとなる本盤もまた、前2作に負けない作品に仕上がっている。確かに豪華なゲストは前2作には及ばないが、Horn隊女性ChorusをFeatureし、より黒っぽさを増したFunkyな仕上がりは個人的にツボである。

 『Keep Me Comin'』はJesse Ed Davis73年Epicからリリースしたアルバム。ドラムスは前作に引き続きJim Keltner。ベースはBob GlaubJoe CockerDr. Johnとの活動で知られるDon Randi And QuestのLatin Percussion奏者のBobby TorresCongaFelix "Flaco" FalconのPercussaionも加わりリズム隊はこれまでよりタイトかつFunkyになっている。
アルバム1発目はインストのざらついたBluesナンバー“Big Dopper”でスタート。引き締まったリズム隊にのってJesseのギターも唸りまくっている。
イントロの吼えまくるSlideがカッコ良すぎで昇天モノの“She's A Pain”。野卑な魅力のJesseのVocalもイイ感じだが、それに絡むエッチな女性Chorus隊も最高。
気怠い歌い方が味わい深い“Where Am I Now (When I Need Me)”。ここでも女性Chorusが盛り上げていき、後半のFunkyなノリが素晴らしい。
なんと何回もやり直すイントロから始まる“Natural Anthem”。それにしてもカッテイングするギターの鳴りが最高っす。Horn隊も活躍するFunkyなインスト・ナンバー。
Bobby BruceViolinがいかにもなアコースティックなCountryチューン“Who Pulled The Plug?”。後半の子供もまじった大人数のChorusも楽しい。
Ching, Ching China Boy”は自伝風の歌詞が興味深い。やんちゃなJesseの歌い方やChorusがPopな
重低音のきいた重たいBeatが最高な“Bacon Fat”。この曲は、50~60年代に活躍したR&B歌手Andre WilliamsのCover。
PercussionとJim Gordonのピアノで始まる“No Diga Mas”は滅茶苦茶カッコイイ感じなのだが、あっという間に途中で終わってしまう。
Horn隊Bob Glaubのうねるベース、JesseのSlideが鳥肌モノのカッコ良さのFunkyなインスト6:00 Bugalu”。下品ヤクザSaxソロも良し。
最後をシメるのは心地良いPercussionに、怠そうに歌うJesseのVocalが最高の“Keep Me Comin'”。FunkyなGlaubとKeltnerのリズム隊にのってSlideが歌いまくるエンディングが何度聴いても素晴らしい。
(Hit-C Fiore)