この発掘音源には驚いた。77年の激動のUK Punkシーンに放たれたデビュー・シングル“Sick of You”b/w “I’m In LoveToday”。たった2枚のシングルを残して伝説となったバンドThe Users。76年にCambridgeで結成されて謎に包まれていた彼らのCompilation CDが発売されたのだ。Pistolsの『Spunk』で有名なDave GoodmanのProduceによるセカンド・シングルの“Kicks In Style”を聴けたのが嬉しい。そして待望の未発表音源だが、これはPunkというより彼らが元々持っていたであろうBritish Pop感覚が垣間見れて面白い。曲数が少ないのが不満であるが彼らの音楽の変遷とメンバーのその後の意外な事実が点と線で繋がったのが興味深い。Punkという括りでなく誤解を恐れずにいえばジャケットからも察せられるようなMod Punkな佇まいが最高だ。
Raw Recordsというレーベルに在籍していた彼らの音は『Raw Deal 』シリーズでしか聴いた事がなかった。
このレーベルとUsersはデビュー・シングルを出して決裂してしまうが、Lee WoodというCambridgeのレコード店主が始めたRaw Recordsには実にユニークなバンドが勢ぞろいしていた。
Dexys Midnight RunnersのKevin Rowlandが在籍していたThe KilljoysやCureのメンバーがいたLockjaw、そして大好きなRobyn Hitchcock率いるThe Soft Boys。
78年にベースのBobby Kwokを失い、Punkの終焉とともに消えてしまったかのように思えた彼ら。結構しぶとくがんばっていたのだ。The Whoの“It's Not True”のCOVERからも分かるようにModな血も流れている。実際にメンバーはMod風のバンドThe Selectionsとして活動を続けたらしいのだ。
そして、一番驚いたことはギターのChris Freeのその後である。Paul Weller師匠のRespondレーベルからA Crazeの一員としてデビューしていたのだ。83年にWeller師匠のProduce、そしてMick TalbotがWurlitzerを弾いている“Wearing Your Jumper”という7インチ シングルをリリースしている。しかもChrisのAB面の曲とも作曲じゃん。このバンドも数曲を残して消滅してしまったので謎の部分が多いけれど爽やかなイメージがあった彼らとゴリゴリのPunkとはなかなか結びつかない。
←A Crazeの“Wearing Your Jumper”b/w “She Is so”の7"。
しかしPistols~Rich KidsのGlen Matlockがそうであるように当時のPunkシーンの真っ只中にいたバンドの中にはModな音楽への憧れを持ち続けていた連中もいたはずだ。そして、そういうヤツ等がPunk Movementの終焉以降もスタイルは変われど頑張っていてくれたのが嬉しい。
それにしてもA CrazeのChrisがThe UsersのChris Freeだとは夢にも思わなかった。
Respondの女性シンガーTracieの2ndシングル“Give it Some Emotion”もChrisが曲を書いていたとは。
人に歴史あり。
今回の未発表音源は期待していた激Punkな音ではなかったけれど、いろいろな驚きと考えさせられるところがあった。
Live音源“Bad Decision”ではRaw RecordsのCambridge人脈なのかSoft BoysのRobyn Hitchcockがベーシストとして参加しているのが面白かった。
The UsersのMySpace→The Users
そしてChris Free(The Users~The Selections~A Craze)のMySpace→Chris Free
Hit-C Fiore