安直ともいえるバンド名が嫌な予感がしたけれどFusionという名のChileのJazz Funk Bandの作品はお気に入りである。
なんでも70年代の軍事政権下の「チリが生んだ奇跡のラテン・ジャズファンク」だそうだ。
多くの芸術家や知識人の尊い命を奪われ、亡命者も出すことになったChileの悪名高い軍事政権。
表現の自由を奪われながら、彼らのこんな作品が残っていたのは確かに奇跡だ。
中南米のFunk Bandは結構、個性的で面白い作品があるけれど、彼らも、それなりの腕を持ったミュージシャンが集まっただけに、只のFunkのCOVER Bandとは違った味わいがある。
メンバーにTenor Sax奏者がいるのとPercussionが効果的に使われているのが印象的だ。
Hornが活躍するFunkyな中南米のグループといえばBrazilのBanda Black RioやO Som Do Copa 7あたりが思い浮かぶ。
FusionはBanda Black RioほどSophisticateされていなければ独創性もないし、O Som Do Copa 7ほどMellowでもない。
しかし、彼らなりに工夫を凝らしたサウンドは中々面白くて、素朴でイナタいな感じが結構良いのである。
殆どがインスト・ナンバーでCOVERとオリジナルが入り混じっているけれどLatin風味が程よく彼らの個性となっている。
COVERも良いが、彼らのオリジナルも出来が良い。
Jazz CrusadersやKool & The Gangあたりにも影響を受けているのだろうけれど、リズム隊がやはり中南米らしい柔軟性があって面白い。
実はChileにはFunk系に限らず、他にも面白いバンドが結構いるのでいずれ記事にしたいと思っている。
『Top Soul』はFusionの75年作。
Sly & The Family Stoneの“Thank You”のCOVERで始まる。
ギターのリフに導かれてLatinの血が騒ぐ腰にクるGroove。
UrugayのRuben Radaの“Dedos”をVocal入りでCOVERしているのも良い。
正直、本物に比べるとイマイチだけどこの辺も彼らのLatinな個性が出ていて気に入っている。
Moogが暴れまくる“Balada De Matias”は鍵盤奏者のMatias Pizarroの作品で中々カッコイイ。
“Mambiadito”はLatinのノリのPercussionとワウ・ギターのバッキングに大らかなHornが南米っぽい。
The Crusaders の“Way Back Home”もワウ・ギターとエレピがイイ感じだ。
“Pulsearas”は疾走するジャズロックでエレピと歪んだギターがカッコイイがすぐ終わってしまう。
COVERではStevie Wonderの“You Are The Sunshine Of My Life”が一番のお気に入り。
流れるようなScatも良い。
“Lamentation”は哀愁のある南米らしいメロディー・ラインでSaxが唄いまくるナンバー。
“Para Toda La Gente”は南米の荒野を走りまくるイメージの曲でいかにも70年代風のシンセ・ソロが面白い。
最後の曲は“Dee Blooz”。コレはKool & The Gangあたりを彷彿とさせるFunkyなナンバー。
Hit-C Fiore