Russell Garcia And His Orchestra | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 

 物心つく頃には家の中や車の中で映画音楽ムード音楽が流れていたような気がする。

Hollywoodの映画音楽から、ハッピーで希望に満ち溢れたゴージャスな雰囲気を少しは感じ取っていたのだろうか。

Hollywoodで活躍した作曲家、アレンジャーのRussell GarciaのOrchestraを聴くと子供の頃に戻ったような気分になる。

そしてRussell(Russ)Garciaの指揮するWest Coast Big Band SoundWest Coatを代表する名手達の夢のような競演を聴くことができて、元気が出てくる。

数々の映画音楽も手がけ、中でもDisney、そして『The Time Machine』、『 謎の大陸アトランティス』などのSF映画の音楽が印象的なRuss。

現在でも読まれている、その道を目指す人なら必読の名著『The Professional Arranger Composer』の著者。

なにより90歳を越えた今でも元気に現役でいらっしゃるスーパー爺様だ。

Russはファシズムを逃れてHolywoodにやってきたイタリア人作曲家Mario Castelnuovo-Tedescoの弟子であり、実はProgressiveなJazzのComposeに関しては一家言ある理論家だ。

Hollywoodで音楽を制作する一方、Russは優れた教育者でもあり、あのBill HolmanGene Puerling彼の弟子である。

Mel TormeJulie LondonといったJazz Singerとの仕事も素晴らしいが、あえて彼が50年代に率いた豪華なBig Band Orchestraに焦点を当てたい。

Los Angels River』と題されたCDを手に入れたからだ。

Hollywoodで働く有能なJazz MusicianがRussが作曲、アレンジし、指揮する楽曲を演奏する。

Herb GellerHoward RobertsなどWest Coastを代表するような連中のソロを楽しむのも一興。

レッド・パージを逃れて西海岸に集結したJazzミュージシャン達がWest Coast Jazzの始まりとも言われる。

50年代にNYHard Bopに対してWest Coast JazzはHollywood映画産業の恩恵を受け活況を呈していく。

やがてHollywoodもMcCarthyismの嵐が吹き荒れ、TVの出現等の影響もあり、衰退していく。

West Coast Jazzもその華やかで短い幕を閉じる。

短かったからこそ、儚かったからこそ輝きが眩しい、その瞬間を楽しむのだ。


 『Los Angeles River』は56年の7月と11月に、それぞれRussell GarciaがOrchestraを率いて録音された作品をCompileしたもの。

Fresh  SoundからCDリリースされている。

ここはRussell Garcia関係を積極的にリリースしているのが嬉しい。

他にもCuteなPeggy ConnellyのVocalをFeatureした『Russell Garcia's Wigville Band』と『Russell Garcia & His Four Trombone Band』が出ている。

どちらも素晴らしい作品である。

Russell GarciaはSchoenberg12音技法をJazzの世界に取り入れた第一人者でもあり、後年Third Streamに取り組むなどProgressiveな人物でもあったが本作では明るく爽やかなWest Coast Jazzを聴かせてくれる。

Worry-Go- Round”ではウキウキするようなTrumpetで始まり、一糸乱れぬBrassセクションが心地よい。前途洋洋としたような曲調で、温かいトーンのDon FagerquistのTrumpetソロが良い。

Carefree”でピアノ・ソロをとるのは今や映画音楽家として有名な、あの巨匠、John Williams

Herb Gellerは“Paolo Alto”で溌剌としたソロを披露する。

歌っていてキレあり、ノリ良しの絶好調のソロ。

名手Howard Robertsのロマンティックなギターから始まる“Aren't You Glad You're You?”はSwingyに展開していく。

エンディングのコード・ソロがカッケー!

アップの“Good Humor”でのRed NorvoのVibeはスリリングで、途中で絡むRoberts、Gellerも良し。

Latin調の“Coronado”はBongoもGroovyにBrassとリズム隊がキレ味抜群でJohn Williamsのソロも流れるように華麗な旋律で魅了する。

勢いの良い“Music City”ではArt PepperTromboneFrank RosolinoTenorBud Shankのソロが眩しい太陽の光のように降り注がれる。


最近のRuss翁の映像 : 元気ですなぁ、顔色も良くて。 奥様のGinaも元気そうで何より。尊敬しております。

Flyin' Free/Shaynee Rainbolt(Vo) With Russell Garcia's 4 Trombone Band


                   Hit-C Fiore