たまたま手に取って観たら想像以上に良かったので、ラッキー!
この作品は、「2人の女の子の友情青春ストーリー」…ではなかった。青春、というより人生ドラマといった感じだ。
個性的であるが故にはみだし者のイーニド・職につき親元を離れ自立しようとするレベッカ・レコードコレクターの冴えない中年男シーモア。
(スティーヴ・ブシェミはやっぱりいい!好き!)
過去の自分もイーニドのような思いを抱えている時期が多々あったので、激しく共感した。そしてとても痛々しく感じた。
周りの人と趣味嗜好が合わなくて居心地が悪かったり、合理的じゃない仕事の仕方に嫌になったり。
好きなことややりたいことは漠然とあっても、それをどう形に仕事にしていけばいいのか解らない。
前へ進みたい気持ちはあるのに進めない、どうにもならない、そんな自分に自己嫌悪。
そしてパンクな思考。私もよく考えた。なんで人と違うのが悪いの?と。
米だけではなく日本でも、少数派って学校や社会ではとかく疎外されがちなので。
レベッカとの微妙な関係がまた切ない。なかなか落ち着かないイーニドに次第にレベッカがいらつき、ぎくしゃくしていくのが。
でも私は女子2人の関係よりむしろイーニドとシーモアの方が気になった。
やはり彼も変わった、というか少数派の趣味を持っているから、イーニドはシーモアに魅かれたのだろう。
ミーハーで軽い男女を嫌い、シーモアを「素敵な物を持ってるじゃない!」と応援するイーニドに心を打たれた。
ラスト近くに、病院でイーニドがシーモアに「あなたは私のヒーローよ。」と言う場面ではとても胸がジーンとし泣けた。
そして終わり方に呆然。
あれは結局希望を見出せなかったということなのか?それとも旅立ち?
暗くはなく笑える箇所もあるし、重々しくない、淡々と内省的なものをじっくり描いている。
最近の米映画で久しぶりに秀作に出合った。
byヴィヴィ