ゴーストワールド /2001 米 | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

たまたま手に取って観たら想像以上に良かったので、ラッキー!

この作品は、「2人の女の子の友情青春ストーリー」…ではなかった。青春、というより人生ドラマといった感じだ。

個性的であるが故にはみだし者のイーニド・職につき親元を離れ自立しようとするレベッカ・レコードコレクターの冴えない中年男シーモア。

スティーヴ・ブシェミはやっぱりいい!好き!)

過去の自分もイーニドのような思いを抱えている時期が多々あったので、激しく共感した。そしてとても痛々しく感じた。

周りの人と趣味嗜好が合わなくて居心地が悪かったり、合理的じゃない仕事の仕方に嫌になったり。

好きなことややりたいことは漠然とあっても、それをどう形に仕事にしていけばいいのか解らない。

前へ進みたい気持ちはあるのに進めない、どうにもならない、そんな自分に自己嫌悪。

そしてパンクな思考。私もよく考えた。なんで人と違うのが悪いの?と。

米だけではなく日本でも、少数派って学校や社会ではとかく疎外されがちなので。


レベッカとの微妙な関係がまた切ない。なかなか落ち着かないイーニドに次第にレベッカがいらつき、ぎくしゃくしていくのが。

でも私は女子2人の関係よりむしろイーニドとシーモアの方が気になった。

やはり彼も変わった、というか少数派の趣味を持っているから、イーニドはシーモアに魅かれたのだろう。

ミーハーで軽い男女を嫌い、シーモアを「素敵な物を持ってるじゃない!」と応援するイーニドに心を打たれた。

ラスト近くに、病院でイーニドがシーモアに「あなたは私のヒーローよ。」と言う場面ではとても胸がジーンとし泣けた。

そして終わり方に呆然。

あれは結局希望を見出せなかったということなのか?それとも旅立ち?


暗くはなく笑える箇所もあるし、重々しくない、淡々と内省的なものをじっくり描いている。

最近の米映画で久しぶりに秀作に出合った。

 byヴィヴィ