シングルマザーの智子に届いた小包み。
中身は、切断された息子の指だった。
電話をかけてきた謎の男は、身代金5千万円を要求。警察にとどける猶予はない。
智子は身代金受け渡しのため奔走するが…。
児童誘拐事件に巻き込まれていく、5人の者たち。
それぞれの事情が明かされたとき、事件の真相が明らかに。
あ、これで一生、遠藤武文の小説を読むことはないなあ。
本を閉じた後にまず最初に思ったことはこれだった。
遠藤武文の小説は、いつもストーリーがどこで破綻してもおかしくないくらいギリギリの綱渡りで、
今回もまた広げた風呂敷をどうやって畳むのかと思っていたら、
最後は風呂敷を畳まずにぐちゃぐちゃに丸めて終わるといういつものパターン。
細かいツッコミを入れていたらキリがないくらい、
そこかしこに瑕疵があって、それが本当に首の皮一枚という感じでつながっていく。
そういう意味ではハラハラドキドキするのだけれど、
そういう意味でハラハラドキドキしたいんじゃないやい。
まず、冒頭から唐突な展開に驚かされる。
受け取った小包を開けると子供の"指"が!
そこへ子供を誘拐したと連絡がありパニックに陥る母親。
身代金は五千万……どうやっても調達できそうにもない感じの母親なのに、
あっという間に銀行に行ってお金を用意してくる。
おいおいどうやって?
……という疑問はあとからわかるのだけれど、それもどうなのか。
この母親以外にも、出てくる人物すべてに対して共感も感情移入もできず、
彼らの行動のひとつとして理解できず、
スケールが大きいとかではなく、大味なだけ。
しかも、最後の最後で何の伏線もなくオカルトを出してきてエンドというのは、
大雑把もここに極まれり、だ。
こういう小説の解説を書くヒトは大変だなあと思いながら読んでみたが、
何と言うか書評家というのは、仕事ならば無理やりにでも誉めるのだなあ。
大変な仕事だ。
って、なんの感想だ、いったい。