「神のロジック 人間のマジック」 西澤保彦 文藝春秋 ★★★ | 水底の本棚

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神のロジック・人間のマジック (本格ミステリ・マスターズ)



ここはどこ? 何のために? 世界中から集められ、謎の学校で奇妙な犯人当てクイズを課されるぼくら。やがてひとりの新入生が学校にひそむ「邪悪なモノ」を目覚めさせたとき、共同体を悲劇が襲う。




愚にもつかない理由で大虐殺というパターンは西澤保彦の得意技。


ヒトはそんな理由で殺人なんてシナイヨ……と言ってあげたい。


まだしも、「人を殺してみたかったから」という佐世保の十五歳の少女の動機の方が腑に落ちる。


っていうくらい、西澤ミステリにおける動機の重要性は低い。




ラストの意外な展開についても……


そんなわけあるかよ、というツッコミは考えてはいけないんだろうな、やっぱり。


西澤流のSFテイストミステリと考えるのが妥当なんだろうね。



いろいろ張ってあった伏線には残念ながらまったく気づかなかった。


よく分からない機械が出てきたあたりでヴァーチャルの可能性は考えたんだけど、


年齢にも錯誤があるとはね。



歌野晶午さんの名作にやや似たコンセプトがあるけれど、ここまで料理法が変わるってのも面白い。




それにしても、重ねて書くのだけれど、


西澤保彦というのは人の命を何だと思っているのでしょうか。



そんな彼にはMr.Chilrenの「Hero」という曲を贈りたいです。



「駄目な映画を盛り上げるために、簡単に命が捨てられていく」

「違う、僕らが見ていたいのは希望に満ちた光だ」