思い出してほしい。
8年前のワールドカップを。
中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一ら才能あふれる中盤を擁していたにもかかわらず、
緒戦のオーストラリア戦では先制をしながら、同じパターンで失点を繰り返したあげく、逆転負けを喫し、
二戦目のクロアチアとは決定機を得ながらのスコアレスドロー、
三戦目はグループ1位のブラジルに完膚なきまでに叩きのめされた。
翻って今年。
緒戦のコートジボワール戦では先制をしながら、同じパターンで失点をして逆転負けを喫し、
二戦目のギリシャとは相手に退場者が出たことで数的優位に立ちながらスコアレスドロー、
三戦目はグループ1位のコロンビアと対戦。
ああ、これほどまでに似ているシチュエーションがあるだろうか。
これではまるで、コロンビアにチンチンにされるフラグが立っているようではないか。
日本代表の選手たちは、いつも「自分たちのサッカー」という言葉を使う。
「自分たちのサッカー」ができれば、絶対勝てると無邪気に信じているようだ。
サッカーには相手がいて、シチュエーションが違えばやるべきことも違ってくるはずなのに。
引いた相手を崩すときのサッカー。
リードしているときのサッカー。
リードされているときのサッカー。
開始直後のサッカー。
終了間際のサッカー。
それらは全部違うはずなのに、彼らは愚直に「自分たちのサッカー」を目指している。
だから、絶対勝たなければいけないゲームで交替カードを残したまま終わってしまったりする。
やったこともない吉田麻也を上げてのパワープレイなどをしたりする。
コンフェデ杯以来一度も試していない岡崎慎司のワントップに挑んでみたりする。
シチュエーションに応じた引き出しがザックにはないから、
たった一種類のサッカーしかできないから、
いざというときに無様なサッカーしかできない。
こんな状況で三戦目に、どんな希望を見出せばいいのだろうか?
……とは言え。
もしもこの厳しい状況を打破して、決勝トーナメントに進めたら。
逆に、日本はどこまでもいけるかもしれない。
12年前、韓国がギリギリの勝負に競り勝って、ベスト4進出を掴んだときのように、
厳しい状況を乗り越えたなら、僕たちの代表チームもひと回り大きくなるかもしれない。
だから今は信じよう。
本田や長友の「優勝を目指す」という言葉が口だけではないということを。