収録作品:
蒼井上鷹「オウンゴール」、安東能明「撃てない警官」、池井戸潤「スジ読み」、逢坂剛「おれたちの街」、
大沢在昌「亡霊」、今野敏「冤罪」、佐野洋「爪占い」、柴田哲孝「賢者のもてなし」、
曽根圭介「天誅」、長岡弘樹「文字板」、新津きよみ「思い出を盗んだ女」、誉田哲也「シンメトリー」、
薬丸岳「償い」、横山秀夫「墓標」、連城三紀彦「小さな異邦人」
「現場」をキーワードにした短編ミステリ集。
と書かれているのですが……実際そうなのかな?
どれもこれも事件の現場と言えばそりゃそうだし、そうでないと言えばそうでないし。
縛り、ユルイよな。
でもまあ、小説の面白さとは無関係ですからね。
面白かったのは、
「賢者のもてなし」(柴田哲孝)
「文字板」(長岡弘樹)
「シンメトリー」(誉田哲也)
かな。
「賢者のもてなし」は悪人が滅びる勧善懲悪の展開が痛快だし、「黒いの」とか「黄色いの」とか言っているものが何かという謎の引っ張り方もシニカルで巧い。
「文字板」は短編小説の名手、長岡弘樹の本領発揮という感じ。
「シンメトリー」は姫川シリーズ。既読でしたがあまり覚えていなかったので(笑)、新鮮。
姫川さん、格好つけすぎだなあ。
まあまあだったのは、
「冤罪」(今野敏)
「償い」(薬丸岳)
「小さな異邦人」 (連城三紀彦)
っていうところかな。
今野敏、薬丸岳はさすがの安定感。
連城三紀彦はあまり僕の好みに嵌まらないことが多いのだけど、これはまあまあ面白かった。
そのほかは……それなりに、というところでしょうか。
アンソロジーの良いところは、初読の作家さんにそこで出会って、ファンになったりするところ。
この短編集では残念ながらそういう作家さんには出会えませんでしたが、
(だってほとんどみんな知っている作家さんばっかりだもんな)
まあ、お値段くらいの読み応えはあったかなと思います。