「彼女の倖せを祈れない」 浦賀和宏 幻冬舎 ★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

ライターの銀次郎の同業者、青葉が殺された。

青葉が特ダネを追っていたことを知った銀次郎はそのネタを探り始める。

手がかりはカメラに写っていたボンデージ姿の女性。

辿り着いた衝撃の真実―それは政界をも揺るがす、暴いてはいけない秘密だった。

読後、背筋が痺れ、頭が真っ白になること確実。思わず息が止まる、驚愕のエンタメミステリ。


彼女の倖せを祈れない (幻冬舎文庫)



※全力でねたばらしです。未読の方はご注意を。










シリーズものなのに主人公が序盤で死ぬ。(いや実際は死んではないのだが)



それ以外に特筆すべきことはない。


倒叙型ミステリだから犯人は途中で明らかになってしまうし、


これが浦賀ミステリであることを考えれば、


物語に仕掛けられたトリックが何であるかはすぐにわかる。



その予想をまったく裏切ることなく、叙述的仕掛けがラストで明らかになるわけだが、


まったく驚きはない。



というか、叙述トリックに意味がない。



性別を誤認させる叙述トリックなのだが……、


「彼女」だと思っていた人物が「彼」であることに何の意味があるのだろうか。



既読の方はためしに、ラストの叙述トリックをそのまま引っこ抜いて読んでみてほしい。


(伏線もないので叙述トリックを省いても不自然な部分はまったくない)


たぶん、何も変わらないと思うけど。



だいたい、「彼」が短大に通っているのはアンフェアじゃないか?


そりゃもちろん短大は女子大ばかりではないけれど、


わざわざ短大に設定することはなくて、四大にしときゃいいんだ。




まあ、そんな細かいことはさておいて。


楽しみ方がよくわからない作品だった、ということですね。