「藤子不二雄論 FとⒶの方程式」 米沢嘉博 河出書房新社 ★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

藤子不二雄―「ドラえもん」「忍者ハットリくん」など数々の名作を生み出してきた「二人で一人のマンガ家」は、一九八七年末にコンビを解消。

藤子・F・不二雄と藤子不二雄Aとして新たなまんが道を歩み始めた。

戦後マンガ史に輝く二つの才能の秘密を詳細に読み解いてゆく、初の本格的藤子論。



藤子不二雄論: FとAの方程式 (河出文庫)




尊敬する人は?と問われたら、


昔からずっと、


ロベルト・バッジョ


藤子不二雄先生と答えていた。




ドラえもん、パーマン、キテレツ大百科、エスパー魔美、TPぼん、モジャ公、バケルくん、21エモン……。


大好きな藤子作品はぜんぶ、F先生が描かれたものだ。



もちろん、怪物くんやハットリくん、まんが道だって大好きだけど。


でも、やっぱり心の琴線に触れまくるのは、F先生の作品なのだ。



本書は、F先生だけでなくA先生と二人の「藤子不二雄」について語られている。



藤子先生のことを知りたければ「まんが道」「愛…しりそめし頃に…」を読めばよいのであって、


他に副読本のようなものは基本的に不要。


「○○の秘密」だとか「○○の謎」のような、


コミックの解説や深読みが書かれたサブカル本は多いけれど、


そういうの、要らないよね。


それを読んでいるヒマがあるのなら、


ドラえもん読んだほうがずっといい。



でも、あえて読むというのであれば本書だ。


これを超える藤子不二雄論はおそらく存在しない。



F先生はA先生の視点から、A先生はF先生の視点から。


藤子不二雄という一人の作家を両面から鮮やかに描き出している評論。