三人の人気作家が、いちばん読みたいテーマを、いちばん読みたい作家に「お願い」してできあがった、完全新作アンソロジー!
運命の出会いを探しに来てください。本とも、人とも。
「本屋さんを舞台に、魅力的な物語を」というリクエストに応えてくれたのは、飛鳥井千砂、有栖川有栖、乾ルカ、門井慶喜、坂木司、似鳥鶏、誉田哲也、宮下奈都、吉野万理子の各氏。
大崎さんの新作ももちろん収録。
書店員なんてやっていると、どうしてもタイトルに「本屋」と入っている本には弱くなる。
まして僕の好きな作家さんたちが書いた新作の「本屋にまつわる」短編であれば、なおさら。
特に、有栖川有栖さんや大崎梢さんは元書店員で、僕にとっては大先輩。
(他にも書店員経験のある作家さんがいたかな? 寡聞にして知りませんが)
その大先輩方が自分の職場を舞台に、物語を書いてくれるなんて言われたら、そりゃあ読まずにいられませんよね。
どれもこれも本と本屋に対する愛情が満ち溢れていて、よかったと思います。
舞台を新刊書店に限定していただけたのも、よかったなあ。
自分が書店員だから言うわけではなく、古書店にも図書館にもそれぞれ良いところがあるのはわかっているけれど、やっぱり本を心から愛している人は新刊書店で本を買うものだと思います。
余談ですが、この本の感想を「読書メーター」で確認したら、「図書館で借りた」という意見がとても多くてびっくりしました。
新刊書店にまつわる話を集めたアンソロジーを図書館で借りて読んで、「面白かった」とか言っている人の神経がわかりません。
一体、何を考えているの?
まあ、何も考えていないんでしょうね。
閑話休題。
アンソロジーの中で一番のお気に入りはやっぱり有栖川有栖さんかなあ。
取り立てて大きな謎があるわけではないのだけれど、書店で起こりそうなちいさなミステリをいくつもあつめた小ネタ集みたいな話が面白いです。
さすが元書店員さんだけあって、他の短編よりもリアリティがあります。
現役書店員が言うんだから、間違いない!!
他の書店でレシートをもらうハナシなんて、実際使えそうなテクニックだしなあ……(笑)
それから、お弁当箱に石をつめた奥さんの話も面白かったし、何と言っても誉田哲也さんがいい!
まさか、あの人が出てくるとはなあ……。
ミステリ的にはこれが一番かも。うれしいサプライズですね。