「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008」  辻村深月・選 講談社 ★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

何時、どこで、誰が、何を、何故、どのように?ミステリーの基本「5W1H」を手掛かりに魅惑的な謎を解く。

シリーズ第八弾の案内人はいま最も注目を集める作家・辻村深月。

自身の思い出も含めた書下ろしの解説とともに選んだ、一九七七年、一九八七年、一九九七年の七つのベストミステリ。



辻村深月選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎008 (講談社文庫)



When…「音の密室」(今邑彩)

Where…「神風の殉愛」(森村誠一)

Who…「猟奇小説家」(我孫子武丸)

   …「裁かれる女」(連城三紀彦)

What…「仰角の写真」(日下圭介)

Why…「みぞれ河岸」(都筑道夫)

How…「背信の交点」(法月綸太郎)


いずれも僕の大好きな作家さんたちばかりだ。

そもそも、本格ミステリが好きで、このラインナップが好きでないという人間がいるはずがない。


ただ。

それだけに、どれもほとんど既読なんだよなあ


面白いのは事実なんだけど。


で、数少ない未読作品で面白かったのは、都筑道夫。「みぞれ河岸」。

ショートショートのような短さだが、なんとも不思議な感覚にとらわれます。


タイトル通り、みぞれのような、淡くて不確かで現実味のない物語。

そんな世界で心地よく遊んでいると、ラストで急に現実にぐいと引き戻されます。


そして、読者は自分が見ていた夢が悪夢に近いものなのだと知るのです。