メタリカ、まとめて、アルバムをレビュー
KILL 'EM ALL / Metallica

着る、M(サイズ)、オール・・・、じゃなくて、「KILL 'EM ALL」ですね。
私のメタリカに関する経緯を説明すると、元々、水戸コンピュータ専門学校時代に、友人F君の影響でメタリカを聴き始めて、メタリカのアルバムを全て揃えた後、一旦、メタル離れによってアルバムを売却して、三十路以降に、再びメタリカのアルバムを全て集める、といった感じなんだよね。
メタリカのアルバムは、探せば中古で全ての作品を集める事が出来るけど、市場価格としては(ブックオフが基準)、1000円以上で、人気グループだけに安定した価格で販売している、といった処だヨン。
私は、メタリカのアルバムは、「DEATH MAGNETIC」まで全て、揃えているけれど、要は、HR/HMのジャンルでは、メタリカが最も好きなバンド、という事なんだよねぇ。まぁ、2番目に好きなのが、メガデスなんだけどね。
本題の「KILL 'EM ALL」(1983)の話をすると、NWOBHMを極度にスピード・アップし、全く新しいスタイルを作り出したのがメタリカであり、ファースト・アルバムの「KILL 'EM ALL」は、斬新な衝撃に満ちた音楽性のアルバムだったんだよね。
逸話として、「KILL 'EM ALL」のヨーロッパ盤をリリースしたミュージック・フォー・ネイションズのオーナーが「正気か? これは唯のノイズだ!」と発言したのに対し、メタリカを発掘したメガフォースの社長のジョン・ザズーラが「こいつらは次世代のレッド・ツェッペリンになる」と反論したらしいですねぇ。
まぁ、それは兎も角、デビュー・アルバムのレコーディングの前には、破天荒な行動で頭痛の種のデイヴ・ムステインを辞めさせ、エクソダスのメンバーのカーク・ハメットを加入させたり、レコーディング費用が膨らみ続ける問題があったりと、「KILL 'EM ALL」が発表される前には、色々と紆余曲折があったヨン。
以下、「KILL 'EM ALL」の主な収録曲について、解説をしていきますね。
2曲目「THE FOUR HORSEMEN」は、デイヴ・ムステインとの共作曲で、元々、「メカニックス/Mechanix」というタイトルだったが、デイヴ・ムステインの脱退と共に、曲のアレンジとタイトルを変更している、との事だヨン。
3曲目「MOTORBREATH」は、熱狂的で攻撃的な曲であり、興奮に身を任せたくなるような素晴らしい曲だヨン。5曲目「(ANESTHESIA)-PULLING TEETH」は、故クリフ・バートンが、一本のベースで奏でるベース・ソロの曲ですねぇ。
6曲目「WHIPLASH」は、究極のヘッドバンギング・アンセムであり、拳を突き上げ、頭を振る、純粋なるスピード・メタルの実践曲ですねぇ。まぁ、スラッシュ・メタルの起源とも言える曲で、真のスピード・メタル・ソングと言えるヨン。
9曲目「SEEK & DESTROY」は、究極のメタリカ・アンセムと言える曲で、メタリカが長い曲を書いて、演奏が出来る存在である事を知らしめた曲でもあるヨン。
「KILL 'EM ALL」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「死に向かって歩む為にお前は生まれた」「全ては定められていた事」「一度罪人となったものは二度罪人になる」-(「THE FOUR HORSEMEN」)
-「我らの行いに慈悲の心はない 何をしているのか考えもしない 悲しみなど感じたくもない」「終わりなき戦い 後悔も悔恨も無い 意味すら気にもとめない」
「弾丸が飛び、人が死に 地獄を支配する狂気が解き放たれる」「魂が狩り出され、死体が積み重なり 大砲がののしり言葉を叫びまくる」-(「NO REMORSE」)
-「逃げ道はない それだけは確かだ これが結末、もう何も得る物はない」「俺達の頭は燃え上がる 命を殺める感覚に その思いは決して消える事が無い」-(「SEEK AND DESTROY」)
RIDE THE LIGHTNING / Metallica

礼堂、坐来、度尼、苦・・・、じゃなくて、「RIDE THE LIGHTNING」ですね。(「礼堂」は、本堂の前方にあって礼拝・読経する為の建物。「坐来」は、座っている事。「度尼」は、得度した尼。)
「RIDE THE LIGHTNING」(1984)は、勿論、所持していて、メタリカのアルバムの中では評価が高いアルバムだけど、チャートとしては、イギリスで87位といった処なんだよねぇ。
しかし、「RIDE THE LIGHTNING」では、メッセージとスピードを武器にした楽曲だけでは無く、大作主義的な作風、大仰な曲展開、起伏の激しい場面転換という独自の形態を基本としていて、前作からスケール・アップする事に成功しているヨン。
以下、「RIDE THE LIGHTNING」の主な収録曲について、解説をしていきますね。
1曲目「FIGHT FIRE WITH FIRE」は、メタリカのアルバムの中で、幕を開ける1曲目としては、最もインパクトのある楽曲で、パワー全開、猛スピード、フルスロットルで爽快感があり、音作りの観点からして、「KILL 'EM ALL」より大幅にレベルアップしているヨン。
2曲目「RIDE THE LIGHTNING」は、アメリカ全体に於ける電気椅子による死刑、というシリアスな問題を扱った曲で、デイヴ・ムステインとの共作曲でもあるヨン。
3曲目「FOR WHOM THE BELL TOLLS」は、アメリカ人作家アーネスト・ヘミングウェイが書いた同名の小説に触発されて書かれた曲だヨン。
4曲目「FADE TO BLACK」は、タイトルが、映画の世界で一つのシーンの終わりが漆黒の闇となる事を表現する映画用語から取られている曲で、長い叙事詩のような作品であり、ジェイムズが歌う事を許された、初めてのメタリカの曲と言えるヨン。
7曲目「CREEPING DEATH」は、スラッシュ・メタルという究極のジャンルに於ける代表曲とも呼べる曲で、私も、メタリカの好きな曲でランキングを作るなら、ベスト5には必ず入る曲と言えるヨン。
「RIDE THE LIGHTNING」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「俺の中の何かが段々に失われていく でも、それも、もうどうでもいい事なんだ」「物事は昔の姿を失い 俺の中の何もかも消えてしまった 現実になり得るはずもなかった死のような喪失感」-(「FADE TO BLACK」)
-「俺は最後まで戦い続けるんだ この真の偽りの世界から逃れる為に それが歪みのない運命だから」「俺の心を犯し、感覚を破壊して、指図するのはやめてくれ」「人生は俺自身の道を生きる為にあるんだ」-(「ESCAPE」)
-「奴隷 ヘブライ人はファラオに仕える為に生を受けた」「気を配る 彼の総ての言葉に、そして恐怖の中で暮らす」「信念 それは知られざるもの、解放者」-(「CREEPING DEATH」)
MASTER OF PUPPETS / Metallica

「MASTER OF PUPPETS」(1986)は、ビルボードの29位にランクインしているけれど、スラッシュメタルという激しいジャンルに属する中で、収録曲8曲のうち、3曲が8分を超えるものであり、商業的要素が全く見当たらないアルバムなんだよねぇ。
しかし、「MASTER OF PUPPETS」は、完璧なリフ、曲構成、詩的で知的な表現により、ヘビーメタルの歴史的名盤と評価される作品になったんだよねぇ。
又、スラッシュメタルは、兎角、速さを競う傾向にあったけれど、メタリカが本作を持って、スラッシュメタルのアイデンティティを変えてしまった事は、間違い無いと思うヨン。
そして、「MASTER OF PUPPETS」の1曲目「BATTERY」、2曲目「MASTER OF PUPPETS」の流れは、完璧で神懸かり的であり、この2曲は、永遠のマスターピースとして語り継がれる事が、決定的になっているヨン。
まぁ、「MASTER OF PUPPETS」の1、2曲目の流れは、菊池桃子の名盤「Escape From Dimension」の1曲目「Starlight Movement」、2曲目「Dreamin' Rider」の流れに匹敵する出来だと、私は、思っているんだよねぇ。
まぁ、それは兎も角、私が、個人的に重要だと思う事は、「MASTER OF PUPPETS」の印象的なジャケットと、そして、歌詞が示す警告が、共に現実化している、今の社会状況の事なんだよねぇ。
昔は、特に気に留めなかったジャケットと歌詞ではあったけれど、今、鑑みるに、相当、意味深なメッセージ性を持っていたんだよねぇ。
因みに、私は、「MASTER OF PUPPETS」がメタリカの中では、最も優れたアルバムだと思っているけれど、ブログのランキングでは、敢えて外しているヨン。
以下、「MASTER OF PUPPETS」の主な収録曲について、解説をしていきますね。
1曲目「BATTERY」は、エンリオ・モリコーネの大西部のメロドラマを想起するアコースティック・ギターのフレーズで始まり、パンクとヘヴィ・メタルの衝突から生まれた暴力的なサウンドで、リスナーを激しく燃え上げさせるメタリカの代表曲だヨン。
2曲目「MASTER OF PUPPETS」は、ブラック・サバスの「PARANOID」に匹敵するヘビーメタル史上の名曲であり、歌詞の内容は、「THE FOUR HORSEMEN」、「CREEPING DEATH」と続いた反体制の物語が、運命的なカタルシスを迎えたと言える、意味深い内容の歌詞になっているんだよね。
3曲目「THE THING THAT SHOULD NOT BE」は、全ての人の魂の底に潜む狂気について語られていて、渦を巻くようなリフによって、ゆっくりと聴き手の意識の中に、メッセージが入り込んでいくヨン。
4曲目「WELCOME HOME(SANITARIUM)」は、世界は精神病院であり、狂気がテーマとして、語られている歌詞になっていますね。
5曲目「DISPOSABLE HEROES」は、自分の理解出来ない、理解したいとも望まない土地で、見ず知らずの相手を殺したり、知りもしない人に殺されたりする事を求められている、歩兵の憂鬱な実情が歌詞になっていますね。
6曲目「LEPER MESSIAH」については、ラーズのインタビューを抜粋すると「(略)人々の中に恐怖を植え付けようとするなんて。(略)彼等は人々を騙そうとするだけじゃなく、その行ないに対してみんなの持っている金、総てをつぎ込ませようとしてるんだぜ!(略)リーパー・メサイアは、そういうおかしな状況、総てに対する攻撃なんだ」との事ですね。
「MASTER OF PUPPETS」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「受難劇の最期が訪れようとしている 俺はお前を破滅に導く」「俺を一度味わってしまえば 二度と逃げられなくなるのさ」「お前の人生が燃え尽きようとしている 俺はお前を操る人形使い」
「俺は糸を引き お前を操る」「お前の心をねじ曲げ 夢を叩き壊し 目を覆い 何も見えなくさせてやる」「気を抜くなよ 俺を裏切ったりするんじゃない」「お前は死人同様にして生きているのさ」-(「MASTER OF PUPPETS」)
-「恐怖を告げるメッセンジャーの姿が見える」「忍び寄る混沌 地下では 秘密集団が集まり 歪んだ音がする」「死に絶えた街 生きながら死せる者ども」-(「THE THING THAT SHOULD NOT BE」)
...AND JUSTICE FOR ALL / Metallica

「...AND JUSTICE FOR ALL」(1988)は、前作の成功に相応しい作品にしなければいけない、というプレッシャーの中で制作された作品で、チャートとしては、全米6位、全英4位という大ヒットを記録しているヨン。
しかし、クリフ・バートンが亡くなった影響は大きく、メタリカは、音楽性の路線変更によって、今回のアルバムの音作りが、単調で鈍い印象になっているのは、否めない処なんだよねぇ。
特に、レコーディングの際、ミックス・ダウンによって、新しいベーシストのジェイソン・ニューステッドのプレイが全く聴こえない、という災難があって、ファンの間では、物議を醸し出したんだよねぇ。
只、収録曲の「ONE」という素晴らしいシングルは、グラミー賞を獲得しているし、アルバム・タイトルは、独立宣言の最後の言葉を引用していて、内容としては、社会に広がる不正をテーマにした意味の深い作品に仕上がっているんだよね。
以下、「...AND JUSTICE FOR ALL」の主な収録曲について、解説をしていきますね。
1曲目「BLACKENED」は、世界の終わりについて歌っている曲で、ラーズ曰く、自分の周囲で起こっている出来事に対して、厳しい見方をしている、との事ですね。
2曲目「...AND JUSTICE FOR ALL」は、人々の生活をより良いものにする事よりも、権力を握る事に興味をそそられている絶望的な政府をテーマにした曲で、アメリカの裁判所のシステムが、何が真実かを見出す事に何の興味も持っていなくて、弁護士が正義をねじ曲げてしまう事を、批判的に歌詞で伝えているんだよね。
3曲目「EYE OF THE BEHOLDER」は、「俺の耳に聞こえるものがお前の耳にも聞こえるか?」と、ジェイムズが問い掛ける曲で、アメリカという国は、自由では無いという事を伝えているんだよねぇ。
4曲目「ONE」は、メタリカをモンスター級のロック・バンドの座に押し上げた曲であり、地雷を踏んで、四肢も感覚も失い、精神だけが残され、不可能とも思える自分自身の現実に囚われてしまった歩兵の物語を、歌詞にしているんだよね。
5曲目「THE SHORTEST STRAW」は、50年代に起こった赤狩りの事をテーマにした曲で、他の人と少し違う視野を持つ人は、即座に社会への脅威というレッテルを貼られる、という事を、批判的に伝えているんだよね。
9曲目「DYERS EVE」は、成長期の間、現実社会からずっと隠されて育った子供の事をテーマにした曲で、何故、自分に現実社会を見せてくれなかったのか、と後に子供が訴える内容の歌詞になっているんだよね。
「...AND JUSTICE FOR ALL」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「暗黒は終結 冬には終末 目にするもの全て 暗黒に染まる」「火を付けろ 死のダンスを踊り始めろ 暗黒は終結 死のダンスを踊り始めろ 世界を闇で塗り潰せ」「偽善の果て 暗黒の力で 慈愛の消滅 世界を暗黒に塗り潰せ」-(「BLACKENED」)
-「裁判所は虚偽に塗り込められ 金が物を言う」「権力を持った狼どもがお前の行く手を遮り 忍び寄るのが聞こえる」「虚飾の判決 彼らは権力を利用した」
「正義は負け 正義の女神はレイプされ 正義は零落する お前を操り 裁きは終結を迎える」「真実は何も追及せず 勝利だけが全てだと 気付く事はとても苛酷だけれど まさに真実 それが現実」-(「...AND JUSTICE FOR ALL」)
-「私の見る物が君にも見えるか? 真実は罪悪 確信ゆえの沈黙」「私の聞く音が君にも聞こえるか?」「君が何を目撃しようとも構わない 君が巻き込まれようとも 思い通りにすればいい 僕の言葉通りになるなら」
「僕が恐れている事を恐れるか? きちんとした生活も 君にとっての真実も僕には嘘」「君が何を目撃しようと構いはしない 自分のやり方でするがいい 僕の言葉通りに行われたとしても」
「君が何を目撃しようと構わない したいようにすればいい 僕が言ったようになったとしても」「自由はもうこれ以上 君を解放しない」-(「EYE OF THE BEHOLDER」)
-「政府の役人が僕を刺し殺す まるで戦争中の事のように」「暗闇が僕を閉じ込める 見るもの全て この上もない戦慄」「罠を仕掛けた 密室」「地雷が視界を遮る 僕の会話も 視覚も奪い 腕を 足を奪い 魂も奪って 地獄のような生に僕を置き去りにする」-(「ONE」)
-「お前の名は疑惑 いまいましい誠実 尊厳の侮辱 恥辱 現代の魔女狩り」「判決が下される堕落 騒然とした混乱」「君は後手に縛り上げられ 追放される 悪は増強し 完敗」
「どん底に達して 君の望みは消え失せた 嘘は透明な輝きで 正当化される」「海峡は血に染まり たったひとこと ブラックリストに載せられた めまいが君を死に至らしめる」-(「THE SHORTEST STRAW」)
-「増大する憎悪の種 愛は憎悪に変わり 僕の運命に罠を仕掛ける」「虚偽は真実にすり変えられた」「ここで成すべき事は終わり」「瞳の中には 暗殺者が横たわっているのが見えるだろう」-(「HARVESTER OF SORROW」)
-「決して飢えもせず 決して潤いもせず」「もがき苦しみ また始まった 今、精も魂も尽き果てる」「訳が分からなくなって 深く落ち込む」「僕は畏怖の奴隷」「待ち望んでいたような恐怖がやって来る」「破滅へと 僕は落ちて行く この言いようにない感覚も 狂気の世界では自由」-(「THE FRAYED ENDS OF SANITY」)
-「一体、何故、僕をこんな目に遭わせるんだ」「支配者 独裁者 行動全てをも監視する」「閉じ込められた真実には 目を覆いながら生きる」-(「DYERS EVE」)
METALLICA / Metallica
「METALLICA」(1991)は、セールス2000万枚を記録していて、チャートでは、全米1位、全英1位を達成していて、デフ・レパードのヴォーカリスト、ジョー・エリオットは、本作をヘヴィ・メタルの「スリラー」と表現しているヨン。
そして、「METALLICA」は、ポストHR/HMの幕開けを告げる名盤とされているヨン。
「METALLICA」は、鋭く機敏なスラッシュメタル路線から、遅く重いHM路線に急転換したアルバムであり、グルーヴメタル等の音楽性も取り入れているんだよねぇ。
ラーズ曰く、そろそろ低音に重みのあるアルバムを作る頃合いだと感じていたらしく、モトリー・クルーのどっしりとしたサウンドに影響を受けて、プロデューサーにボブ・ロックを選択した、という事だヨン。
以下、「METALLICA」の主な収録曲について、解説をしていきますね。
1曲目「ENTER SANDMAN」は、ジェイムズ自身の子供時代の記憶の奥深くで培われてきた暗闇や、その中に潜むものに対する恐怖が歌われている曲だヨン。
2曲目「SAD BUT TRUE」は、ラーズ曰く、人の心に潜む様々な人格が如何に別々の行動をとらせるか、についての曲であり、如何にそういう人格がぶつかりあうか、心の持ち主である人間を支配しようとして戦い合うか、を歌っている、との事だヨン。
4曲目「THE UNFORGIVEN」は、己の人生の主権を握る事なく過ごしてきた多くの人々に関する曲で、他人の後に従っていく大勢の人の人生は、最初から最後まで計画されたものに過ぎなく、計画をする側の人々も確実にいるし、それに従うだけの人々も確実に存在している、というメッセージの曲になっているヨン。
8曲目「NOTHING ELSE MATTERS」は、40人編成のオーケストラで演奏されていて、ジェイムズの秘められたロマンチシズムを垣間見る事の出来るラヴ・ソングとなっているヨン。
「METALLICA」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「変わりやしないさ、その頭はまだゼラチンなんだ」「どうして代わりに自分自身の心配をしないんだ」「傲慢と無知が手を取り合って進んでいく」「お前が誰なのかではなく誰を知っているかが問題で 他人の生活がお前自身の生活の基盤」-(「HOLIER THAN THOU」)
LOAD / Metallica

ロードス・・・、じゃなくて、「LOAD」ですね。(ロードス(ロドス)とは、エーゲ海南東部、小アジア南西端近くにある島の事。前1500年頃からギリシア人が居住、ヘレニズム文明の一中心となったが、前1世紀ローマに占領されて以来、常に他民族の支配下にあった。1945年以後ギリシア領。ロードス。)
「LOAD」(1996)は、日立製作所の勝田工場で、派遣会社を通して、パソコンのハードディスクの組み立ての仕事をしていた21才の頃の時期に、同じ派遣会社のF君に「LOAD」を、MDにダビングして、曲名まで打ち込んで献上したという、まぁ、若気の至りと言えば良いんですかね、青春の想い出があるんだよねぇ。
F君は、メタリカの曲では、「ENTER SANDMAN」が最も好きな曲だと話していて、まぁ、「LOAD」は、ミディアム・テンポの曲が多いし、結構、気に入ってくれたと思うヨン。
「LOAD」は、前作と同様に、チャートでは、全米1位、全英1位を記録していて、メタリカは、HR/HMの枠を超えた、時のバンドと言える存在になっていたんだよねぇ。
「LOAD」の音楽性で特徴的になっているのは、ヘヴィー・メタルの音楽は、基本的にEのキーで成立しているけれど、メタリカは、今回、Aのコードも使っていて、又、その他、色々なキーを試している訳で、ヘヴィ・メタルというジャンルを進化させている、と言えるヨン。
又、ジェイムズの歌詞も、今まで以上に内面を曝け出していて、ジェイムズは、ヴォーカリストとしても、ソングライターとしても大きく成長しているヨン。
そして、カークのリード・ギターも、メロディの構築力を増していて、プレイに関しても、聴き応えのあるアルバムになっているんだよねぇ。
本作で、新しい事に挑戦しているという意味で、印象的な曲を挙げるなら、ブルーズやカントリーのフィーリングに彩られた、「Poor Twisted Me」、「Ronnie」の2曲ですねぇ。
「LOAD」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「俺は罪を犯してきた 本当の罪というものが心から生じるものだとしたら 俺は有罪だ」「俺は秘密 俺は罪 俺は有罪 そして俺は 苦悩の種」-(「THORN WITHIN」)
RELOAD / Metallica

ビロード・・・、じゃなくて、「RELOAD」ですね。(ビロードとは、パイル織物の一種。ベルベットと同義語。経(たて)、又は、緯(よこ)に針金を織り込み、織り上げたあと抜き取るとき、輪奈(わな)を切り放って毛を立たせたもの。)
「RELOAD」(1997)は、前作「LOAD」と、対を成すアルバムであり、両アルバムに収録されている楽曲は、全て「LOAD」レコーディング前に完成していたらしいんだよねぇ。
「RELOAD」の音楽性で、最も特徴的な処は、初めて外部のミュージシャンを迎えた処にあるんだよねぇ。
「THE MEMORY REMAINS」に参加しているマリアンヌ・フェイスフルは、波乱万丈の人生を過ごしてきたベテランであり、年老いた女性が、過去の栄光が今も続いていると信じている内容のこの曲に、相応しい人物と言えるんだよねぇ。
「THE MEMORY REMAINS」の歌詞は、ジェイムズが、「サンセット・ブルーヴァード(サンセット大通り)」という映画の主人公を思い浮かべて制作したもので、マリアンヌ・フェイスフルのハスキー・ヴォイスが、素晴らしい効果を生み出しているヨン。
(因みに、「サンセット大通り」は、素晴らしい映画で、私も観ているのですが、このブログで、レビューを書いているんだよねぇ。)
そして、「LOW MAN'S LYRIC」では、ハーディ・ガーディとヴァイオリン奏者が迎えられていて、アイリッシュ・ムードたっぷりの幻想的な曲になっているヨン。
「RELOAD」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「操り人形が踊るところを見てくれ」「楽しくゲームに興じよう」-(「SLITHER」)
-「本当の事を言ってくれ 白状するんだ」「吐き出してくれ 何もかもぶちまけるんだ」-(「BAD SEED」)
-「この世界はお前にとって素晴らしいものになるだろうか?」「お前を無垢なままにしておくだろうか それとも汚しきってしまうのか?」
「目を覚ませ まどろむ者よ お前の世界を救う時が来た」「野蛮なものに満ちた場所にお前はいる オモチャの兵隊たちは戦いに出かけた」-(「WHERE THE WILD THINGS ARE」)
GARAGE INC. / Metallica

ガレージ・セール・・・、じゃなくて、「GARAGE INC.」ですね。(ガレージ・セールとは、家庭で不要な品を自宅のガレージなどで売る事。)
「GARAGE INC.」(1998)は、カヴァー集ではあるけれど、個人的には相当に気に入っているアルバムで、ブログのランキングのHR/HM部門で、2位にしているヨン。
まぁ、メタリカの最高傑作は、「MASTER OF PUPPETS」で、個人的に最も好きなオリジナル・アルバムは、「DEATH MAGNETIC」になるとはいえ、「GARAGE INC.」は、楽曲が良いだけでなく、ディスチャージを知るきっかけになったりと、何かと思い入れのあるアルバムなんだよねぇ。
「GARAGE INC.」のカヴァー曲の選曲について言うならば、まぁ、NWOBHMに影響を受けた申し子として、相応しい選曲と言えるけれど、ボブ・シーガーやニック・ケイブといった意外なミュージシャンのカヴァー曲も、選曲しているヨン。
又、メタリカは、最もモーターヘッドに影響を受けているバンドであり、ラーズ・ウルリッヒは、少年時代にアメリカのモーターヘッド・ファンクラブの会長を務めた経験があるんだよねぇ。そして、本作では、4曲、モーターヘッドのカヴァー曲が選曲されているヨン。
因みに、「GARAGE INC.」のライナー・ノーツには、メタリカのメンバーのプロフィールが掲載されていて、メンバーの趣味が分かって、凄く面白いヨン。
「GARAGE INC.」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「口を開く事の出来ない者達に自由な言論を」-(「FREE SPEECH FOR THE DUMB」)
-「俺の母親は魔女だった 生きながら焼かれた 誰もがあの忌まわしい女の事を知っていた」「俺は悪魔なのか? そうさ!」「俺は母親が死ぬのを見ながら、正気を失った 復讐だけが、俺の生きる道」-(「AM I EVIL?」)
S & M (SYMPHONY & METALLICA) / Metallica
「S & M (SYMPHONY & METALLICA)」(1999)は、メタリカとオーケストラの合同演奏によるアルバムで、マイケル・ケイメンが指揮を担当しているヨン。
アメリカで最もパワフルなオーケストラであるサンフランシスコ交響楽団と、世界で最もパワフルなロック・バンドであるメタリカとの結合は、リスナーに質の高い感動を与えると同時に、メタリカというバンドの奥の深さを見せつける結果になっているヨン。
「S & M (SYMPHONY & METALLICA)」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「”目先の見返りにつられる奴だ”彼らは言う」「そこへ明らかになる トンネルの果ての 慰めるような光が実は こちらへ飛ぶようにやってくる列車だったのだ」-(「NO LEAF CLOVER」)
St.Anger / Metallica
セイントフォー・・・、じゃなくて、「St.Anger」ですね。
「St.Anger」(2003)は、発売当初、賛否両論となった問題作であり、鈍い音色やしつこい展開は、従来のヘビーメタルファンから酷評されていたんだよねぇ。
しかし、「St.Anger」の音楽性は、システム・オブ・ア・ダウンを想起するストーナー・メタルであり、ギター・ソロを排除する等、一般のロック・リスナーを惹きつける事に成功していて、私も、ブログのランキングの上位に入れるかどうか迷う位に、意外と好きなアルバムになっているヨン。
まぁ、90年代以降、ジェイムズ・ヘッドフィールドのヴォーカル・スタイルが変化してからは、オリジナル・アルバムで言えば、「St.Anger」と「DEATH MAGNETIC」が、個人的に好きなアルバムになっているんだよねぇ。
因みに、「St.Anger」の完成に至るまでのバンド内部に激しく渦巻いた葛藤は、憎しみ、怒り、人間不信等、ネガティブなエネルギーによって積み上げられ、それらは、後に公開された映画「SOME KIND OF MONSTER」で赤裸々に綴られているヨン。
要は、「St.Anger」は、ジェイソン・ニューステッドの脱退、ジェイムズ・ヘッドフィールドのアルコール依存症といった障害を乗り越えて制作されたアルバムで、感情が剥き出しになった荒々しい鋭角的な音像と、メンバー全員の参加による歌詞によって表現された健全なる怒りは、本作を、相当に魅力的な作品に仕上げさせているヨン。
「St.Anger」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「自分が如何に進むべきかを 知るだけの強さが俺にあるだろうか」「生きていくか そのままにしておくか」「俺の生き方が、俺の死に方を決める」-(「FRANTIC」)
-「この唇は自由を味わった事が無い この感覚は決して安全では無い」「これはいい匂いのする罠」「我々、人民、我々は人民なのか?」「ちょっとした怪物だ この怪物は生きているのさ」-(「SOME KIND OF MONSTER」)
DEATH MAGNETIC / Metallica
デス・マスク・・・、じゃなくて、「DEATH MAGNETIC」ですね。(デス・マスクとは、死者の顔から型をとって作る顔面の像の事。死面。)
「DEATH MAGNETIC」(2008)は、約20年間、5枚のアルバムを共に制作してきたボブ・ロックに別れを告げて、リック・ルービンを新たなプロデューサーとして迎えて制作されたアルバムだヨン。
メタリカは、今まで意識的に過去の名作から距離を取り続けた作品を残してきたけれど、本作の制作過程に於いて、メンバーは、1980年代に発表した傑作のアルバムと素直に向き合うようになり、原点回帰と呼べる内容の作品を仕上げているヨン。
ジェイムズ・ヘッドフィールドは、「DEATH MAGNETIC」の音楽性の特徴として、「RIDE THE LIGHTNING」と「MASTER OF PUPPETS」の中間に位置する作品、とインタビューで明言しているヨン。
まぁ、パンテラの「Reinventing the Steel」が、パンテラにとって、過去の集大成的な作品であったように、「DEATH MAGNETIC」は、メタリカにとって過去の集大成的な作品になっていると、個人的には思っているし、そういう事もあって、ブログのランキングのHR/HM部門では、「DEATH MAGNETIC」を1位にするかどうかで、最後まで迷ったヨン。
「DEATH MAGNETIC」のサウンド面の特徴として、際立っているのは、プレイの生々しさとオーガニックな空間性で、それは、「GARAGE INC.」のサウンド面が気に入っていたリック・ルービンの、狙い通りのサウンドと言えるんだよねぇ。
そして、歌詞の内容は、自己救済や自己の精神的探究という重いテーマで貫かれていて、全ての収録曲が、人間の死を扱う内容として、綴られているんだよねぇ。
正しく、「DEATH MAGNETIC」というアルバム・タイトルに相応しい、切迫感のある内容の作品に仕上がっているヨン。
「DEATH MAGNETIC」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「立ち上がり、倒れ、転がり、再び立ち上がる 苦しみがお前を強くしてくれる」「暗黒の日々を乗り越え 暗黒の夜を乗り越え 漆黒の内面を乗り越えて 来るべき苦しい日々を味わいながら 己の傷跡を見せつけろ」
「人生を破壊され、骨を折り、殴られ、傷を負っても 俺達は弱音を吐かない」-(「BROKEN,BEAT & SCARRED」)
(2026/6/26)
