P-Funk、まとめて、レビュー
Funkadelic

繁華、デリー区・・・、じゃなくて、ファンカデリックですね。(繁華とは、その地に人が多く集まり賑わう事。デリー(連邦直轄地:Delhi)とは、インド北部にある中央政府の直轄地の事。ガンジス川平原西奥部、ジャムナ川西岸に位置。デリー区、ニューデリー区、デリーカントンメントの3行政区に分かれており、デリー区は旧市街が中心である為、通称オールドデリーと呼ばれる。)
ファンカデリックは、「Funkadelic」、「Maggot Brain」、「Hardcore Jollies」、「One Nation Under a Groove」をレンタルして、リッピングして聴いていますね。
ファンカデリックは、初期に於いては、サイケデリック・ロックとリズム&ブルースをラウドでファンキーに演奏する黒人ロック・バンドを目指していて、ジョージ・クリントンが中心となって、ザ・パーラメンツのバック・バンドを前面に出しているヨン。
記念すべきファースト・アルバム「Funkadelic」(1970)では、アルバム全体を通して、土俗的・呪術的なリズムと幻惑的なエフェクトが混在していて、リスナーをオカルティズムな快楽と空間へ導いているヨン。
印象的な収録曲を解説すると、冒頭の「Mommy,What's Funkadelic」は、ダブに通じる浮遊感の中で、ゴスペル・コーラスとデルタ・ブルース的なハープが交錯し、独特のアトモスフィアを生み出しているヨン。
又、「I Got a Thing,You Got a Thing,Everybody's Got a Thing」は、ズンドコしたドラムや、絡み付くギター・リフが印象的で、現代のラウド・ロックに通じる曲だと言えるヨン。
そして、アルバムの末尾を飾る「What Is Soul」では、「ソウルとは何か?」という問いが繰り返されて、リスナーに自由と解放について、考える事を提示しているヨン。
サード・アルバムの「Maggot Brain」(1971)は、Pファンク一派を代表するファンカデリックの初期の最高傑作ですね。
土に埋められたアフリカ人女性の頭部が叫んでいるジャケットは、土着的で不穏で神秘的なアルバムのイメージを高める役割を担っているヨン。
「Maggot Brain」は、ジミ・ヘンドリックスの音楽性を踏襲しながら、シリアス且つユーモラスに発展した作風で、ロックを敬遠していたアフリカン・アメリカンの人々に影響を与えたんだよねぇ。
そして、それが、以降、プリンスなどのブラック・ロックの系譜を生み出す結果になったヨン。
収録曲について、説明していくと、冒頭の「Maggot Brain」のギター・ソロは歴史的名演になっていて、宇宙的なスケールを持ったサイケデリックなギター演奏を、トリップ感を持って堪能する事が出来るヨン。
又、「Can You Get To That」は、女性コーラス隊が参加したゴスペル調のドゥーワップ・ソウルで、「Hit It and Quit It」は、ブルージーな楽曲で、「Super Stupid」は、ヘヴィー・メタル的な楽曲で、「Back in Our Minds」は、ニューオーリンズ・ファンク的な楽曲で、アルバムは、全体的に多彩な音楽性なっているヨン。
「Hardcore Jollies」(1976)は、ワーナー移籍第1弾のアルバムで、ジョージ・クリントン曰く「楽器を思う存分に演奏」するアルバムで、リスナーは、メンバーが楽器を演奏する快楽性に身を委ねて、パワフルなファンクを堪能出来るヨン。
収録曲では、冒頭の「Comin' Round the Mountain」の演奏が、特に素晴らしく、強靭なグルーヴの中で聴かせる、エディ・ヘイゼルの酩酊感のあるギター・ソロは、ジミ・ヘンドリックスのギター技術の後継者と称するに、相応しいクオリティですねぇ。
又、「Cosmic Stop」のマイケル・ハンプトンのギターも名演とされていて、ファンカデリックの顔と言えるエディ・ヘイゼルとマイケル・ハンプトンの新旧ギタリストの競演は、かなりの聴き応えがありますねぇ。
そして、白眉は、「You Scared the Lovin' Outta Me」で、官能的なコーラスをバックに、グレイン・コインズが熱唱していて、このアルバムは、楽器の演奏だけでなく、歌で聴かせる事も出来る、ファンカデリック絶頂期のアルバムになってるヨン。
「One Nation Under a Groove」(1978)は、「グルーヴの下に一つの国」というPファンクの哲学とコンセプトを、アルバム・タイトル、乃至、表題曲にしていて、このアルバムは、R&Bチャートの1位という商業的成功とも相俟って、ファンカデリックの代表作になっていると言えるヨン。
収録曲で言えば、表題曲「One Nation Under a Groove」は、多重録音されたシンセ、カッティング・ギター、パーカッション、ハンドクラップ、リピートするヴォーカルが絡み合い、延々とグルーブを紡ぐ、エレクトロニック・ディスコで、R&Bチャートで6週連続1位を記録した、ファンカデリック最大のヒット曲だヨン。
又、「Who Says a Funk Band Can't Play Rock?!」は、マイケル・ハンプトンのギターが冴え渡っていて、グルーヴ感の素晴らしい、ファンク・ロックに仕上がっているヨン。
Parliament

パーラー、面会・・・、じゃなくて、パーラメントですね。(パーラーとは、談話室、休憩室、応接間の事。又は、手軽な飲食をする店。面会とは、人と直接に会う事。対面。面接。)
パーラメントは、「Mothership Connection」、「Funked Up- The Very Best of Parliament」の2枚をレンタルして、リッピングして聴いていますね。
パーラメントは、ザ・パーラメンツの厚いコーラス陣と、エディ・ヘイゼル、バーニー・ウォーレル、ティキ・フルウッド、などのファンカデリック勢が合体する事に依り、圧倒的なヴォーカル・ワークと演奏力で、ソウルとロックを融合しているヨン。
「本気で冗談をやる」、「ノリつつ冷める」、それが、Pファンクの奥義であり、真骨頂である訳で、ブラック・ミュージックに於けるユーモア・センスに関しては、Pファンクが群を抜いている、と言えるんだよねぇ。
パーラメントは、初期では、演奏は粗削りだったけれど、「Chocolate City」(1975)辺りから、鍛えられたグルーヴとホーン隊が一体化する事によって、サウンド・フォーマットとメソッドが確立し、演奏も整えられる事になったヨン。
アルバムの収録曲の説明をすると、タイトル曲「Chocolate City」では、ワシントンDCの黒人コミュニティを舞台に、モハメド・アリが大統領、アレサ・フランクリンがファースト・レディ、スティーヴィー・ワンダーが芸術長官、という架空のファンキー政府の物語を繰り広げているヨン。
又、「Ride On」は、ワウを効かせたブーツィー・コリンズのベースが、ブリブリゴリゴリとうねっていて、熱狂的で一丸となった演奏により、ヘビー級ファンクの疾走感を堪能出来るヨン。
そして、パーラメントは、「Mothership Connection」(1975)で、Pファンクという言葉を初めて公にして、地球にファンクを蔓延させる物語の幕を上げる事になるヨン。
「Mothership Connection」は、ジョージ・クリントン、ブーツィー・コリンズ、バーニー・ウォーレルに依る最強の共作体制の中で、其々の絶頂期に制作されたキャリア・ハイと言える作品で、パーラメントの本気度が最も分かる作品でもあるヨン。
「Mothership Connection」は、新メンバーのグループに依って、飛躍的に進化した音楽を作り出す事に成功していて、特に、フレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカーのホーン勢は、ダイナミックな印象をリスナーに与えているヨン。
又、前作から取り入れているシンセサイザーによって、音色の幅を広げていて、デトロイト・テクノに関して言えば、この時期の作品から、徐々に影響を与えていて、特に、70年代後半のエレクトロ・ディスコ・ファンク路線は、大きなヒントになっている、と推測出来るヨン。
「Mothership Connection」以降の作品の曲目について、説明しておくと、「Dr.Funkenstein」は、銀河系ファンクの帝王=ドクター・ファンケンシュタインの人々を解放する物語を題材にした作品で、モコモコしたベースが印象的なスロウ・ファンクだヨン。
「Bop Gun」は、当時のディスコでは、ドナ・サマーやロイ・エアーズよりも人気の曲で、「Flash Light」は、デトロイト・テクノに影響を与えているエレクトロニック・ディスコ・ファンクと言えるヨン。
「Aqua Boogie」は、イルカにファンクを見出した作品で、デトロイト・テクノのドレクシアの作品に於けるヒントになっている、と推測出来るヨン。
Bootsy Collins
仏地、五輪塔・・・、じゃなくて、ブーツィー・コリンズですね。(仏地とは、仏の位、仏の境地、仏をまつった地、寺院のある地、などの事。五輪塔とは、五大にかたどった五つの部分から成る塔の事。平安中期頃から供養塔、墓塔として用いた。石造が多く、金銅・木・泥土などでも造った。)
「What's Bootsy Doin?」は、レンタルして、リッピングして聴いていますね。
「What's Bootsy Doin?」(1988)は、ビル・ラズウェルやバーニー・ウォーレルらが参加し、この時期から、打ち込みダンス・ビートを駆使したファンクへと、モデルチェンジしているヨン。
収録曲について説明すると、「Party on Plastic」は、ゲートリバーブが効いたエレクトロ・ファンクであり、「Shock-It-to-Me」は、スティーヴィー・サラスが、ギターで参加しているヨン。
P-Funk 総括
東海村立図書館から借りて来た「Pファンクの大宇宙-ディスクガイドとその歴史(ele-king books)」の中で、最も印象的な記事はジョージ・クリントンの1992年のインタビュー記事だヨン。
タイトルは、「人生にはいい時も悪い時もあるが、ファンクな時は、まず沈み込むことはない」となっている記事ですねぇ。
まず、ファンクはスタイルではなくマインドだ、という考え方があって、それは、ステイト・オブ・マインドであり、自分のマインドを解放して、それに従っていく、という事だヨン。
そして、ファンクは決して何処かへ行ってしまうものではなく、何時もやって来るものであり、どんどん積み重なり大きくなっていくものだ、という事らしいですねぇ。
人生には良い時も悪い時もあるけれど、ファンクな時は沈み込む事は無く、前向きな心を常に持って、ファンクがやって来た時は、それに乗っかれる準備が出来ているようにする事が大事だと、言ってますねぇ。
そして、最も重要な記事は、「Pファンクが解放したもの、身をもって変革したこと-エクスパティーズvs抑圧のエコー」に書かれている事だヨン。
アフリカ系アメリカ人は、その昔、世界を檻として理解していて、その壁はシステム的な人種差別によって築かれ、限界を内面化する事によって補強されていたらしいヨン。
しかし、それは、アフリカ系アメリカ人に関する話に限らず、日本人に於いても、築かれる壁の種類は違っても、見えない規則、内面化された限界によって、檻に閉じ込められている、と言えるヨン。
そして、ファンカデリックは、そういう不自由な檻の中で生きるアフリカ系アメリカ人のステレオタイプを打ち砕いていて、それは、視覚的、聴覚的、知的な方法に依って、という事だヨン。
ジョージ・クリントンは、グリッター、マント、スペース・ヘルメットに依って、品行方正である事を嘲笑し、黒人の一般的なイメージを変えてしまったんだよねぇ。
又、「Maggot Brain」に於けるエディ・ヘイゼルのギター・ソロは、黒人を定型に嵌め込もうとする事への10分間の叫びであり、黒人の子供達にロック音楽を愛する許可を与えているヨン。
偏在する抑圧としては、異なる素材で作られているとしても、世界共通であり、人種差別、女性差別、同性愛嫌悪、トランス嫌悪、経済格差、同調圧力、その他、によって、鉄格子の檻が作られているヨン。
そして、その鉄格子により、大きな軌道を求める憧れは、人間的であり、ファンカデリックのマザーシップは、その象徴として存在していて、そのメッセージは、年代を越えて反響し続けているヨン。
自分の宇宙船を築いて、エンジンに火を点けて、自分が生まれ落ちた軌道に縛られずに、グルーブを外に求めて、自分の脱出速度を見つけよう、そして、希望の象徴に留まらず、自分より不遇な者へ、曳航索を投げかけよ、という事だヨン。
上記の記事を総括して言うならば、ファンクというのは、段々と集まってくる集団的な音楽でありながら、マインドとして最後の希望となる音楽でもあり、Pファンクのメッセージ性としては、抑圧からの解放にあり、それは黒人に対してだけではなく、人類全般に対する共通のメッセージであり、支配に対する抵抗運動でもある、という事になると思うヨン。
(2026/6/13)